一方、都は5月末、少人数で暮らすグループホームに認知症型のデイサービスを併設する場合、1000万円の補助を行い、都市型軽費老人ホームを創設・買収・改修する際には補助金が出ることを発表。都の独自サービスは厚労省も参考にすることが多く、「お泊まりデイサービスのガイドライン策定などはその典型」と田中さん。介護保険外の自主事業だが、デイサービスの利用者がそのまま夜でも宿泊できる。

『混合介護』のモデル事業の行く末

 介護保険制度改革を推し進めるなか、政府の規制改革推進会議は、一部で認められてきた『混合介護』の拡充を求めている。混合介護とは、介護保険内のサービスと、保険外サービスを組み合わせて同時に利用できるようにすることを指す。

 都では、国家戦略特区を活用しながら豊島区と連携、’18年度からモデル事業が実施されることに。介護事業所の収益アップ、職員の賃上げにつながると期待する見方もあるが、

「問題はサービスの“押し売り”です。保険外サービスを利用すれば負担増になりますが、例えば、訪問介護の事業者から“オプションをつける”と言われると、介護を受けている側はなかなか断れないのでは?」(田中さん)

 この豊島区のモデル事業が成功すれば、全国へ波及する可能性が高い。介護の質の維持・向上や人材確保、低所得者対策をしながら、要介護者の尊厳をどう守っていくかが問われる。

取材・文/渋井哲也…ジャーナリスト。『長野日報』を経てフリー。自殺、いじめ、教育問題など若者の生きづらさを中心に取材。近著に『命を救えなかった─釜石・鵜住居防災センターの悲劇』(三一書房)がある