《解説》加齢とともに増える病気

【加齢黄斑変性】患者数推定501万人。先進国で失明原因第1位

 その名のとおり、加齢により黄斑部(網膜の中心部分)に異常が現れて、ものが見えにくくなる病気。研究が進んでいるアメリカでは、50歳以上の患者が1400万人いて、毎年20万人ずつ増えている。

「日本では80万~90万人の患者数とされていますが、人口比から500万人はいると思います」(前出・深作先生、以下同)

 欧米では失明原因の第1位で従来は治療が困難な病気とされていたが、最新の硝子体手術では、中期までの患者は根治できる場合も!

【網膜剥離】10代に多いが50代以上は老化から発症

 眼球の内側にある網膜がはがれて視力が低下するなど、さまざまな症状を引き起こす。50代以上の場合、加齢により動きやすくなった硝子体線維が網膜を引っ張ることで起こる。手遅れでない限り、最新の手術法で治療が可能。

【白内障】加齢とともに誰にでも起こる病気

 目をカメラにたとえるとレンズ部分が水晶体。ピントを合わせる役割で本来は透明だが、加齢とともにタンパク質が変性し濁ると視力低下や視界がかすむなどの症状が現れる。

治療は手術しか方法はない。濁った水晶体を取り除き、単焦点または多焦点レンズを移植。多焦点レンズは保険診療外だが、遠くも近くも裸眼で見えるようになる。熟練した医師が手術を行わないと十分に視力を出せないので注意」

【緑内障】視力を失う寸前まで自覚症状なし!

 視神経繊維が障害されて見える範囲の視野が狭くなっていく病気。最後の最後まで中心部分の視野が残ることが多く、失明の寸前まで緑内障であることに気づかない場合がある。65歳以上の高齢者に多いが、若くてもかかる。眼圧が高い、視神経への血流の悪さ、視神経への機械的な圧迫が原因と考えられている。

「治療は薬によるものが主流でしたが、症状に応じた最新の手術を優秀な医師のもとで行えば、治る可能性が高くなってきました」

【糖尿病性網膜症】糖尿病によって年間3000人以上が失明

 糖尿病の合併症として生じる病気。糖尿病で血糖の高い状態が続くと網膜の微小血管が詰まり、裂けて眼底出血を起こす。これを繰り返すと、視力の低下や網膜剥離を起こし、進行すると失明に至るおそれがある。

<教えてくれたひと>
深作秀春医師◎眼科外科医。眼科手術や手術機器の開発に世界的に貢献し、最新眼科手術を日本に紹介。現在も欧米の医師教育に取り組み、海外でも多くの講演を行う。 あらゆる眼科手術を行い、現在までに15万件以上の手術を施す、スーパードクター。