『人魚姫』

 海辺のリゾート開発を進める青年実業家リウによって“人魚族”は、絶滅の危機に瀕していた。タコ兄をリーダーとする一族は「リウ暗殺計画」を実行に移すべく、キュートな人魚シャンシャンを人間に変装させリウと接近させる。リウは横暴な美人投資家ルオランへのあてつけに彼女とデートに出かける……。

 おとぎ話を現代に変換、人間と人魚族の確執とロマンスを描いたファンタジー。アジア映画歴代興行収入No.1を記録、500億円以上を売り上げたメガヒット作だ。本国中国では、ドラマ化も決定しているそう。

 監督は『少林サッカー』や『カンフーハッスル』のチャウ・シンチー。今作ではハリウッドに比べたら10年は遅れているようなチープなCGを多用しているが、にも関わらず作品の面白さはまったく損われていない。同じように、彼の持ち味でもある漫画的ギャグやベタベタなコメディー描写がこれでもかというほど(笑)散りばめられている一方で、登場人物の感情を伝える演出は説明を抑えた、繊細で鮮やかなシンチー節。

 くだらないギャグに笑っていた観客は次第に彼らに共感して泣き、ハラハラし、ラブロマンスにじんわりさせられる。まさに王道の娯楽映画

 このところ役者としての出番は無くなったけれど、監督としてますます円熟味を増すチャウ・シンチーの作品、今後も見逃せません。

◎本編94分+特典映像/3800円/発売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/監督:チャウ・シンチー/出演: リン・ユン、ダン・チャオ、キティ・チャン、ショウ・ルオ、ツイ・ハークほか(発売中)

『人魚姫』(c) 2016 The Star Overseas Limited ※記事の中で画像をクリックするとamazonの紹介ページ(Blu-ray)に移動します

『幸せなひとりぼっち』

 何かと文句の多い“不機嫌じいさん”のオーヴェは近所の鼻つまみ者。43年間、鉄道局職員として勤めてきたオーヴェだが、突如クビを宣告される。家に帰れば今は亡き愛する妻の面影。孤独に耐え切れず自殺を図ろうとするが……。孤独な人生を笑いと涙で温かく包むヒューマンドラマ。

◎本編116分/DVD3800円+税、ブルーレイ4700円+税/発売元:アンプラグド/販売元:ポニーキャニオン/監督:ハンネス・ホルム/出演: ロルフ・ラスゴードほか(発売中)

『幸せなひとりぼっち』 (c) Tre Vanner Produktion AB. All rights reserved. ※記事の中で画像をクリックするとamazonの紹介ページ(Blu-ray)に移動します