古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、テレビ業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第28回は鮫肌文殊が担当します。

シシド・カフカ 様

 今回、私が勝手に表彰するのは、現在、視聴率的にもネット的にもバズりまくりのNHKの朝ドラ『ひよっこ』の久坂早苗役で、お茶の間ではもうおなじみのシシド・カフカさんである。

シシド・カフカ

 メキシコ生まれの帰国子女。身長175センチ、スラリと伸びた長身を生かした女優・モデル業の他に、この絵に描いたようなクールビューティーには、ミュージシャンとしての顔もある。実は、TVのバラエティー畑で働く私と彼女との間に今年の春、奇跡的に接点があった。

 3月28日、NHKの関西ローカルで放送された特番『どらむでクッキング♪』。

 タイトル通り、NHKの老舗プログラム『きょうの料理』とドラムプレイがコラボ。公式ホームページの番組紹介「食材刻んで、リズムも刻む」「料理の基礎をドラムのリズムで学べちゃう、これまでにない新しい教養エンターテインメント番組」「包丁やフライパンの使い方、野菜の処理や調味料のはかり方、火加減の調整まで」「シシド・カフカさんがドラムのビートでサポートします。千切りにピッタリのリズムって?フライ返しがうまくいくビートって? 『料理』と『音楽』という前代未聞の科学変化をお楽しみ下さい」を読んでも内容がいまいち想像できないと思う(笑)。

 NHK大阪局が若手ディレクターに「好きなことやってみろ!」と用意した実験枠で放送され、あまりのシュールさにオンエア直後は「なんだコレ!?」とネット界隈がかなりザワついたいわくつきの作品。このアホ企画を考えた総合演出の姜瑛樹ってキレッキレの男が「企画の趣旨を理解してくれるのは彼女しかいない」と連れてきたのがシシド・カフカさんだったのだ。もちろん本職であるドラマーとしてのご指名。

 担当作家として収録現場で打ち合わせもやったのだが、シシド・カフカさんは台本を読むなり「とにかくやってみましょう」。