小林麻央さんの死から、早くもひと月以上になる。

「成田屋は今も悲しみに包まれていますが、海老蔵さんは役者です。舞台に立ち続けなければなりません。『七月大歌舞伎』夜の部では息子の勸玄くんとの宙乗りが話題になりました。海老蔵さんは昼の部にも出演していて休む暇もない状況です」(スポーツ紙記者)

 7月末には、麻央さんの紹介で始めた志賀高原の植樹に海老蔵は親子で出かけた。ブログで子どもたちの元気な様子を紹介しているのは、麻央さんへのメッセージのようにも見える。そんな多忙を極める中、将来に向けての明るい話が持ち上がった。

「海老蔵さんの『十三代目市川團十郎』と勸玄くんの『八代目市川新之助』という親子ダブル襲名が水面下で計画されています。動きがあるのは麻央さんの一年祭が終わってからですね。'18年秋ごろに正式発表。'19年春に歌舞伎座での3か月間連続公演を皮切りに約2年間、全国を回ることになります」(梨園関係者)

 東京オリンピックに合わせた特別興行も計画されていて、成田屋のイベントが連続する。

背景には億単位の治療費も

「ダブル襲名のタイミングはオリンピックも関係していますが、一番大きいのは勸玄くんが2年後に6歳になることでしょう。歌舞伎界では非常に縁起がいい年齢と言われているんです。片手で親指から1、2、3と指を折っていき6のときは小指だけが立つ。これを“子が立つ”と言い、初舞台に最もいい年齢と言われているんです」(芸能レポーター石川敏男氏)

七月大歌舞伎では白狐役で宙乗りを披露(市川海老蔵オフィシャルブログより)
七月大歌舞伎では白狐役で宙乗りを披露(市川海老蔵オフィシャルブログより)

 最近でいえば、今年2月に中村勘九郎の長男が6歳で勘太郎を襲名している。縁起のいい話ではあるが、ダブル襲名にはもうひとつの理由があるともささやかれている。

「背景には借金返済という現実的な問題があるでしょうね。麻央さんの治療費は億単位とも言われます。現在も海老蔵の実家の土地は借金を肩代わりした松竹の所有のまま。襲名興行となれば、10億円以上の実入りはあるといわれていますからね」(前出・スポーツ紙記者)

 麻央さんが亡くなったことで、襲名興行は厳しくなったとも報じられた。夫を支えて興行を仕切るはずの“梨園の妻”がいないからだ。

「でも、実際にご贔屓筋の信頼をいちばん得ているのは、海老蔵の母親である希実子さんですよ。現在64歳の彼女が健在のうちに團十郎襲名をしたいというのは、成田屋の総意です。来年は松本幸四郎一家の3代同時襲名が行われます。松竹としてはそれに続く目玉が欲しいわけですから、利害が一致したんです。

 成田屋のイベントは歌舞伎ファンの関心が高い。お母さんが亡くなった直後にもかかわらず、七月大歌舞伎で勸玄くんが1か月間、舞台に出続けると、チケットは完売しましたからね」(松竹関係者)

 歌舞伎界にとっても、親子ダブル襲名が歓迎すべきイベントなのは確かだ。

 事実関係を松竹に問い合わせたが、

「そのような話はまだ聞いていません」

 とのことだった。

 麻央さんがブログを始めたのは、多くの人に勸玄くんを支えてほしいという思いがあったから。息子の新之助が夫・團十郎と晴れ舞台に立つことを、天国で心待ちにしているに違いない。