猪突猛進、すごい子がおるもんや

 2001年、和泉さんは走り出した。持ち前の行動力に拍車がかかる。すぐに会社を辞めて集中して勉強し、「福祉住環境コーディネーター2級」試験に1発合格。その知識を生かした仕事を見つけて従事する傍ら、休みを利用して夜行バスを駆使し、全国各地のセミナーに参加。情報を集め飛び回った。

 なかでも和泉さんが師匠と呼ぶ大阪府豊中市の芳村幸司さんの事務所には、寝袋を持って9日間滞在した。熱い思いを語り、すべての仕事について回り、あらゆるメモをとり続けた。

 芳村さんは福祉住環境コーディネーターの先駆者で、福祉住環境コーディネーター協会理事、全国的な学会を開催する福祉住環境アソシエーションの専務理事でもある。検定合格者の育成セミナーも数多く行っている。

師匠と仰ぐ、芳村幸司さん
師匠と仰ぐ、芳村幸司さん
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猪突猛進型のすごい子がおるもんやと圧倒されました。一言一句聞き逃すまいとメモを取る。冗談も全部書き留めているから、どれが大事なことかわかるかなと心配になるほどでした。私も人を育てたいという思いが強かったので、その熱意は心地よかったのを覚えています」

 そこで吸収したことを手がかりに、高知でもゼロからNPOを立ち上げ、活動を広げ、行政にもかけあった。

 そして、2006年には高知市から、2010年には高知県から委託を受けて住宅改造アドバイザー事業を行うようになる。

 さらに、福祉住環境に取り組む全国の仲間とみるみるうちにつながっていく。和泉さんが人をつなげる力、人の懐に入る力は目を見張るものがあると芳村さんも一目置く。

「全国を学会形式でつなげるための福祉住環境アソシエーションでは、四国代表の理事として関わってもらっています。高知県でも独自に連携を深めて、障害者や高齢者の支援団体など、さまざまな現場で活躍する専門家を集めた高知県リハビリテーション研究大会の実行委員長を務めたとも聞きました。彼女なりに頑張っているのは本当にうれしい。あとは、人がよすぎるので、ちゃんと利益が出るように頑張ってほしいということですね」