さくさく衣と、ジューシーでやわらかい鶏肉が魅力!

■とり天(大分県中部)

 ムネ、モモ、ささみなどの鶏肉をしょうゆ、ニンニクなどの下味に漬け、天ぷらの衣で揚げる。レストランはもちろん、喫茶店や弁当店でも見かける安定の人気ソウルフード。

とり天(大分県)
とり天(大分県)
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 鶏肉の揚げものといえば、まずから揚げが一般的。次にチキンカツや竜田揚げがきて、ローカルフードとしての「とり天」が続くところ。ひと口大の天ぷらとなった鶏肉は、から揚げやカツと違って、さくさくの衣とフワッとやわらかい、やさしい口当たりが特徴。別府のレストラン『東洋軒』が発祥とされ、別府や大分市など大分県中部の郷土料理として広まっている。

 そもそも東洋軒の創業は大正15年。東京の帝国ホテルを経て、大正天皇の料理人も務めたという宮本四郎氏が開業した。宮本氏は台湾で中華料理を学び、そこで『炸鶏丸(=鶏のかまぼこの天ぷら、と訳される)』というメニューを和風にアレンジ、考案したのが現在のとり天のルーツなのだという。

「鶏肉にしっかりと下味がついているので、そのまま食べてもおいしいですが、カボス果汁のポン酢とカラシを使うと味が変わり、これまた絶品です」(同店取締役専務・上野さん)

 大分名物発祥の店として賑わう同店は、週末は20分、連休などは1時間もの待ち時間がかかることもあるという。

 過去にはハンバーガーチェーン各社がとり天を使ったメニューを考案。今後、全国区進出も期待できそうな料理だ。