福原容疑者が通っていた東大農学部キャンパス
福原容疑者が通っていた東大農学部キャンパス
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 国内の農業分野でどれほど優秀な人物なのか。

 農業専門紙記者は、

「今年3月の日本農業史学会の個別報告ではトップバッターを務めている。中国東北部の黒竜江省の事例から『寒冷地稲作の展開過程における品種の変遷と気候資源の関係』を論じている」

 職歴は華やか。約7年間のシンクタンク在職中、官公庁の委託業務を複数こなした。例えば'12年には農水省の委託で福島原発事故の影響により縮小した輸出先国の需要回復に向けた戦略的マーケティング事業調査に参加。途上国の農業投資拡大のための検討調査や、国交省委託の未利用森林資源の収集システム調査事業も担当している。

 いつ大学院に戻って博士課程に通うようになったかはわからない。

 しかし、'09年に在ブラジルの日本商工会議所を表敬訪問して地球規模の食料安全保障について意見交換しているほか、昨年2月にはフランス国立社会科学高等研究院日仏財団の研究フェローとしてパリでセミナー講師を務めるなど世界を股にかけた活躍ぶり。事件とのギャップは大きい。

 東大に、大学としてのコメントと福原容疑者に対する処分の見込みを尋ねると、「個人情報なので答えられない。処分するかどうかも個人情報なので話せない」(広報課)と一蹴されてしまった。

 東大大学院で容疑者を知る複数の関係者は「広報に聞いてくれ」の一点張り。唯一、指導教授が重い口を開いた。

─福原容疑者をご存じですよね。

「もちろん知っています。しかし、大学の公式見解は広報に聞いてください」

─先生に聞きたいのは公式見解ではなく容疑者の素顔です。

「……。人間の素顔は100%わかるものではありません。自分自身でも素顔がわからないことがありますから。しかし、私個人としては全く予想外の事件でした。私の知る限り、事件を起こすような人物ではなかった。大変期待していたので残念です」

 事件後、面会はしておらず、現時点で面会の予定はないという。しかし、「必要があれば会いに行くかもしれない」とも語った。

 なぜ、超高学歴のエリートが粗暴な犯行に走ったのか。新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)は、

「性的な犯罪と、学歴・社会的地位は関係ありません」

 と前置きして話す。

「それにしても犯行態様が稚拙すぎます。街中に防犯カメラがあるのはニュースや刑事ドラマを見てもわかること。目隠しのトートバッグをかぶせておきながら、悲鳴を上げられてすぐ逃げたのも中途半端で行き当たりばったりです。知的レベルは高くても、想像力が足りない。被害に遭った少女がどれほど怖い思いをしたか。人間関係能力が低いんだと思います」(碓井教授)

 容疑者には善悪の勉強からやり直してもらいたい。