最後の曲を歌い終え、進の手を借り、孝が車いすから立ち上がったときは、割れんばかりの拍手に包まれた。

コンサートが終わって、多くのファンが“元気をもらった”と言ってくれて。内心、元気は俺のもんだ。あげないぞ! って思うけど(笑)、僕らは、新しい役割を与えられたと実感してる。人生って、どんな状態になっても、そこに必ず楽しみがあることを伝えるっていう」(孝)

兄貴、いいこと言うなあ。それ、いつも俺が言ってることだよ(笑)」(進)

 秋からはコンサートが続く。

 絶妙なトークとふたりが生み出すハーモニーは、多くの人を勇気づけるに違いない。

9月1日に上梓(じょうし)された『さよなら涙 リハビリ・バンバン』(秀和システム)※記事の中で画像をクリックするとamazonの紹介ページに移動します
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ふたりはこう変わった〜周囲の人に聞く

■兄・孝の妻・菅原けい子さん(72)

病気になる前の主人は、わがままでしたが、今は子どもたちの介護もあるので、彼なりに我慢しているようです。着替えなど手を貸すと、必ず“ごめんね”と言うのも昔と変わったところです。私自身、胃がんを経験して体力がないところに介護が始まり、最初は疲れ果てていました。でも、主治医の“いい人になっちゃダメ”というアドバイスをきっかけに、ヘルパーさんなど周囲の手を借りて、主人を支えています」

■所属事務所社長・佐々木昌志さん(60)

「大病をして変わったのは、兄より、むしろ弟のほうですね。昔は、ラジオ番組に出演してもひと言も話さない気難しさがあったけど、今では兄弟漫才みたいに話すし、“自然体でいいんだよ”なんて、さりげなく兄を支えている。70代を迎えたふたりは、競馬にたとえれば、第4コーナーを回ったあたり。今後は、流すように気持ちよく走ってほしいですね。そんな彼らの姿に、勇気づけられる人は多いはずですから」

<Information>

●9/16(土)書籍発売記念トーク&サイン会東武百貨店池袋7F「9番地特設会場」(問い合わせ/旭屋書店)

●10/15(日)ビリー・バンバンコンサート2017in富山(問い合わせ/南砺市井波総合文化センター)

(取材・文/中山み登り 撮影/坂本利幸)