9月24日で川島なお美さんの早すぎる死から2年になる。がんに侵されながらも最後まで舞台に立ち続け、女優としての人生を全うした。

「昨年の一周忌では小田原の一夜城ヨロイヅカファームで『川島なお美慰愛碑除幕式』が行われました。なお美さんは夫の鎧塚俊彦さんが経営するこの店を“私の夢”と言っていたそうです。広大なガーデンを自分の“生まれ変わり”として育ててほしいという願いがノートに綴られていました」(スポーツ紙記者)

 碑には「あなたの作品として美味しくお皿の上にのります」という彼女のメッセージが刻まれている。花や野菜、果実の段々畑に囲まれ、相模湾を見下ろす場所。なお美さんの魂が安らぎを得るための最高の環境だ。

 今年の命日はどんな供養をするのか。鎧塚氏に話を聞いた。

三回忌は都内のお墓にファンの方とお参りし、女房が好きだったそば屋さんで思い出話をしようと思っています。特別なイベントはないんですが、この日に向けて『川島なお美動物愛護基金』を設立しました。それが妻の夢でしたから。湯川れい子さんが会長を務める動物愛護委員会が母体となっています

『川島なお美賞』と『川島なお美動物愛護賞』を設け、動物殺処分反対運動で活躍している人を表彰するのだという。基金には、なお美さんが遺したお宝ワインが役立てられた。

女房のワインを22本チャリティーオークションに出品して得た300万円に、僕の気持ちの200万円をプラスした500万円を提供しています。ただ、女房の生まれ年'60年のロマネコンティは出せませんでした。彼女が本当に大切にしていたものですから。女房が喜んでくれると思えるときが来たら、友人たちと飲もうと思っています

小田原の慰愛碑。蝶のイラストとともに、彼女の言葉が綴られている
小田原の慰愛碑。蝶のイラストとともに、彼女の言葉が綴られている

 昨年は慰愛碑、今年は動物基金と、なお美さんの願いをひとつずつ叶えてきた。この2年の間に、鎧塚さん自身にも変化があったという。

「恋愛せずにいるかどうかは正直わからない」

「掃除、洗濯、整理整頓が大好きになりました。以前は掃除なんてまったくしませんでしたが、今はどんなに忙しくても毎朝1時間は掃除しますよ。

 当時は甘えていたんでしょうね。今、女房がいたら、この姿を見てどんなに喜ぶのかなとも思います。でも、生前もっとこうしておけばよかったとかは考えないようにしています。治療に関しても、後悔はしていません」

 鎧塚さんの心の中には今もなお美さんがいるが、彼も51歳という若さだ。三回忌を過ぎれば、新しい道に進むことを考えてもおかしくはない。

 思い切って再婚の可能性についても聞いてみた。

女房は“できれば再婚はしないでね”と言っていましたからね……。ずっと誰も好きにならずに、恋愛もせずにいるかどうかは正直わかりません。でも、今は再婚というのはありえないですね

 なお美さんは花となり、蝶となって、今も小田原の高台から夫を見守っている。