数学者の穂波孝を演じる竹野内豊。(c)NHK

声のよさに注目したキャスティング

 竹野内豊がドラマ10『この声をきみに』(NHK総合 金曜 夜10時~)でNHKドラマに初主演、大人のラブストーリーに挑戦している。

 脚本は、朝ドラ『あさが来た』の大森美香が手がけるオリジナル。

大森さんが中年男性と謎のある女性のラブロマンスをと考えていたので、映画『Shall we ダンス?』のようなコメディータッチにしたいと思いました。話しているうちに、大森さんも私も、朗読教室に夢中になっている知り合いがいるとわかったんです。それで取材をしてみたら、実に多様な人が集まっていて、興味深いエピソードが多い。そこで今作の舞台は、朗読教室に決めました。

 ハリウッド映画『ノッティングヒルの恋人』『ユー・ガット・メール』のような、ラブロマンスを意識しています」

 こう話すのは、磯智明チーフプロデューサー。

 大学の准教授の数学者の穂波孝は、偏屈でサービス精神に欠ける中年男。妻はある日突然、ふたりの子どもを連れて家を出ていき、離婚を望んでいる。講義では、理論や数式をまくしたて“声はいいのに話が最高に面白くない”と、学生の人気もいまひとつ。そんな孝は、あるきっかけで、朗読教室“灯火親(とうかしたしむ)”に通うことに。最初はプライドが邪魔をして、講師の江崎京子の指導に素直に従えず、教室メンバーからも浮いた存在だったが、次第に朗読の世界の奥深さに気づき始める──。

“声が素敵な人を”と、孝役は竹野内さん、京子役は麻生久美子さんにと、早い段階から決めていました。孝、京子だけでなく、朗読教室主宰者役の柴田恭兵さん、孝の妻役のミムラさんやほかの登場人物のみなさんも、演技に加え、朗読教室が舞台の作品なので、声に個性があり、心地よい朗読をしてくださる方々にお願いしています」(磯CP、以下同)

個性的なメンバーが集まった『灯火親』の朗読に参加した孝だが、なかなか自尊心を捨てきれなかった。(c)NHK

 声のよさで選んだ配役に加え、孝が朗読中に空想するシーンは、見どころのひとつ。

毎回、登場する朗読シーンにファンタジックな映像をつけることで、視聴者にお楽しみいただけるようにしています。

 朗読のシーンに物語のピークがくるような脚本制作は毎回、非常に手間がかかり、大森さんも奮闘していますが、さまざまなメッセージが込められています」

 第3話(9月29日放送)では、孝の妻が離婚を決心した理由を激白。空想シーンでは、夕日に向かって宮沢賢治の『雨ニモマケズ』を朗読する。

 劇中、メビウスの輪などがアニメで画面に現れるのは、作品の雰囲気をやわらかくするための演出。深刻になりすぎず、楽しめる。

 さらに注目は、エンドロール。JUJUの歌う主題歌『いいわけ』に合わせて、登場人物がキレのいいダンスを披露しているので、お見逃しなく。