少し前までは控えめで言葉数も少なかった彼女も、おっとりとした雰囲気はそのまま、ときに冗談を交えながらも自分の言葉で伝えていく。その変化を伝えると「ふふふ」とうれしそうに微笑み、

有村架純 撮影/廣瀬靖士
有村架純 撮影/廣瀬靖士
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これまでは周りの大人たちが引っ張ってくれて、私というものを引き出してくれていたんです。でも主演をやらせてもらうことも増えて、少しずつ意識が変わっていって、スタッフさんや共演者の方にはこちらから話しかけようって。その影響もあると思います」

 今や国民的女優とまで成長した有村。これまでさまざまな苦難があったというが、それでもブレずにここまで来られたのは、とある監督の“忘れられない言葉”があったからだそう。

「現場で“余計なことすんな!”って言われたことがあって。『あまちゃん』などいろんな作品に出させていただいて、私なりに学んだものをフルに出そうとしているのを監督に見抜かれていたんです。“気持ちがあれば悲しい顔を作らなくても目から伝わってくるんだから、余計なことすんな”って」

 これまで身につけてきたものを全部はがされ、まるで“生まれたて”のようになったと振り返る。

「その言葉をくださった廣木隆一監督とは『ストロボ・エッジ』に続いて『夏美のホタル』でもご一緒させていただいて、今のお芝居のベースにもなっているんです。ここまで来れたのもその“叱咤”があったからこそ。この言葉を大切に、次のステップに進んでいきたいです

<出演情報>
映画『ナラタージュ』
10月7日(土)全国ロードショー
高校時代の部活の顧問教師・葉山(松本潤)に特別な思いを寄せる泉(有村架純)。大学2年生となり、再会した2人の思いは重なりかけるが、葉山には離婚の成立していない妻がいた。必死に忘れようと、泉は自分に思いを寄せる同級生・小野(坂口健太郎)と付き合い始めるが……。