ほぼすべての時間を給食に捧げている

 常々、土地のものを子どもたちに食べさせてあげられないかと考えていた松丸先生。

「大根のような見た目の品川カブ、ぷりっと丸みのある寺島ナスなど、“江戸東京野菜”はあるんです。でも、どうやったら給食で出せるのか? 農家さんに電話をしてみたんですが、あまりに唐突。不審がられてしまいました(笑)」

 生産農家が限られる江戸東京野菜を給食で出すのは簡単ではない。松丸先生は農家を直接訪ね、農作業を手伝いながら信頼関係を築き、そして学校給食用の野菜を確保した。

「僕のライフワークが『全国学校給食甲子園』のコンセプトに合致した。だから優勝できたんだと思っています」

 休日は農家で作業しているか、給食の試作をしているか。平日の帰宅後も給食の試作。睡眠時間は約3時間半。ほぼすべての時間を給食に捧げている。

「もっともっとおいしい給食を作りたい。日本じゅうの子どもたちに給食を好きになってもらい、笑顔になってもらいたい。そのためにできることは、何でもやりたいんです」

松丸先生直伝、揚げだしナス豆腐の作り方

 そんな松丸先生が、今の子どもが嫌いな野菜1位の“ナス”を使ったレシピを教えてくれました。これなら子どもたちも大喜びで食べてくれるかも?

「今の子はピーマンよりも、圧倒的にナスが嫌い。原因は火を通したときの見た目の悪さや色です。でも、それを回避する調理法はちゃんとあります」

松丸先生直伝 揚げだしナス豆腐
松丸先生直伝 揚げだしナス豆腐
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【揚げだしナス豆腐】

◎材料(2人分)
ナス1本、木綿豆腐1/2丁、片栗粉適量、揚げ油適量、青ねぎ10g、A【水200ml、しょうゆ大さじ2、みりん大さじ2、砂糖小さじ1、乾燥昆布1かけ(約1cm×5cm)】

◎つくり方
【1】
ナスを縦に4等分に切る。豆腐はキッチンペーパーでくるみ、水けをきってから半分に切る。青ねぎは小口に切る。

【2】豆腐に片栗粉をまぶし、油を180度に加熱し、ナスと豆腐を揚げる。

【3】別の鍋にAを入れて、1度沸かす。揚げたてのナスと豆腐をお皿に盛りつけ、上からAのタレと青ねぎをかけて完成。

<プロフィール>
まつまる・すすむ◎小学校栄養士栄養士として病院勤務したのち、小学校の栄養士に。子どもが喜ぶ給食作りに邁進している。ドラマ『Chef~三ツ星の給食~』の監修も。