“新たな取り置き”とコンシェルジュ

書店員として店頭に立ち、お客様の本の相談にも乗る丸山さん(左)と池上さん(右)
書店員として店頭に立ち、お客様の本の相談にも乗る丸山さん(左)と池上さん(右)
すべての写真を見る

 老舗大型書店・紀伊國屋書店新宿本店ではネット利用の新サービスが評判らしい。同店の店長代理・丸山裕子さんが言う。

「それは当社ウェブストアで注文して店舗で受け取るサービスです。図書カードや一部電子マネーでも支払いができ、お勤め帰りなどに立ち寄りたいというニーズにお応えしています。ご注文の本プラス、店頭で思わぬ1冊と巡りあう場を提供できればうれしいです」

 もうひとつのサービスの目玉がコンシェルジュだ。

「探している本の案内が主ですが、贈り物にどんな本がいいのか相談を受けることも。本との出会いを少しでもお手伝いできればと思っています」(丸山さん)

 そのために、広い店内の棚の場所や新刊情報などを常に頭に入れ、ほかの書店員からの情報も絶えず吸収している。ときにはこんなことが。丸山さんが言う。

「エンディングノートを探しているおばあちゃんを案内していたら、人生相談が始まることも(笑)」

 お客様と本との出会いを演出するため各売り場の担当者は売れている本、売りたい本を選んで手作りのPOPで棚や平台を飾りフェアやイベントを企画、HPやツイッターで情報を発信している。コンシェルジュの池上晃子さんが言う。

「当店で人気なのが2階の詩歌俳句のコーナー。担当はこの世界では有名人で、ネットでも売っていない句会の本やフリーペーパーも独自に調達して置いている。だからトークイベントもいつも盛況。俳句のオフ会なのか、棚の前で待ち合わせしている方も結構います」

電子書籍購入でポイントや割引も

いろいろお話を聞かせてくれたアマゾンジャパン合同会社の種茂さん(右)と友田さん
いろいろお話を聞かせてくれたアマゾンジャパン合同会社の種茂さん(右)と友田さん

 Amazon.co.jpでは、どんな本や雑誌が購入されているのか。

 アマゾンジャパン合同会社のメディア事業部・種茂正彦さんは、

「紙の本も電子書籍も安定して売れています。実は、雑誌も売り上げが好調です。ここ数年、ニッチな専門性の高い雑誌が売れています。これらはコンビニが扱わないうえ、書店のない自治体が増えている事情もあるのでしょう」

 電子書籍の売り上げを、アマゾンジャパン合同会社のKindle事業本部の友田雄介さんが説明する。

「電子書籍の事業を始めて5年ですが、当初5万点だったラインナップが現在は60万点。新刊が紙と同時に電子も出されるようになりました。ポイントや割引キャンペーンも積極的に実施しています。以前は電子書籍が紙の書籍を食う、なんて言われていましたが、そんなことはない。マーケットが広がっただけなんです

 売れ筋にはネット書店ならではの傾向も。紙では『うつヌケ』や『夫のちんぽが入らない』など書店では買いにくい本もよく売れている。

「テレビを見ながら、スマホですぐ注文というのが日常化してますね。だから、常に在庫のある状態を目指しています。そしてそれをできるだけ早く届けたい。出版不況といわれていますが、データによると読者人口は増加しています。本を読みたい人はたくさんいる。そんなニーズに今後も対応していきたいですね」(種茂さん)