ネットで調べものをしていたら「この本、おもしろそう!」と思わず“ポチッ”。そんなネットでの購入機会が増え、書店数の減少が叫ばれる昨今だけど、ネットと差別化を図るべく独自のコンセプトで奮闘する個性派店や、新たな取り組みを始めた老舗店も続々登場。ユニークな取り組みで評判の書店を紹介!

 

注目の個性派本屋さん

1冊の本をまるごと擬似体験「森岡書店」

『森岡書店』の外観

「2006年から茅場町で店舗を始めて間もなく10年というときでした。“向こう10年、また新しいことに取り組みたいな”と考えたときに、タイミングよく出資などのお話をいただいて、やろうと決断しました」

 こう語るのは、『森岡書店』を手がける森岡督行さん。銀座の中心街から離れた閑静な場所へ、2015年5月に移転。“1冊の本を売る本屋”というコンセプトのユニークさで、一気に話題に。

「毎週1冊だけ本を売っています。正確に言うと、1冊の本から派生する展覧会をしながら本を売っています。例えば、お花の本だったら、掲載されているお花を店頭で販売したり、著者や編集者の方がいらっしゃって読者の方とお話ができたり。そういうコミュニケーションの場にもなればと思っています」

 本の世界観を擬似体験できるため、遠方から来るお客も多い。そんな前例のない取り組みに、不安はなかったか?

「多少はありました。ただ、茅場町時代も、新刊のイベントを行うと、少ないながらお客さんにいらっしゃっていただいたので、その経験が後押ししてくれました。最初は本を探して自分からオファーしていましたが、今は本になる前の企画段階からお声かけいただくこともあって。幸せだなって思います

『森岡書店』を立ち上げる前も、神保町の古本屋に8年間勤めていたという、根っからの本好きの森岡さん。

「海外から比べると日本は書店や出版社の数も多いし、いい本が生まれてくる環境も豊かだなって私は思います。本屋だし、本が好きなので売れてほしいんですよ(笑)。書店や本を元気にする取り組みを何か考えていきたいです

◎東京都中央区銀座1-28-15鈴木ビル1F 営業時間/13:00~20:00 定休日/月

自分にとって必要な本に出会える「いわた書店」

『いわた書店』

「いま65歳なんですけど、父親が本屋を始めたときは、まだ6歳でしたね」

 札幌から電車で約1時間、北海道砂川市にある創業59年の老舗書店が話題になっている。その理由は、店主の岩田徹さんが10年くらい前から始めた“1万円選書”だ。

 きっかけは、地元の先輩たちと飲んでいたときに“何を読んでいいかわからないから、おもしろそうな本選んでくれ”と1万円を渡されたことから始まった。先輩たちのことを思い浮かべながら、選んだ本が大好評。やがてウワサが口コミで広がりブームに。一時は下火になるも3年前、深夜番組で取り上げられ……。

「日曜の深夜の番組だったので、あまり人は見ないだろうと思ったんです。そうしたら、その時間帯はスマホ世代の方がよく見ているみたいで、月曜になったらネットの急上昇検索ワードに“1万円選書”とか店の名前があがっていたんです

 そこから取材が殺到し、ホームページで受け付けを開始すると1日1000件ものメールが。さすがに全員には選書できないため、いまは抽選方式となっている。1回で3000通くらいメールが来て300人くらいに当選の連絡がいく。選び方は、送られてきたアンケートに答えるだけ。

「内容は“今まで印象に残った本20冊”を挙げていただきます。そして、“あなたがいちばん幸せな年齢”などを書いてもらうんです。実はそれで、人生を振り返っていただく経験をしてもらうんですよ。“そういえば、あれやり残してた”とか自分を見つめ直すと同時に、その人となりを知ったうえで本の提案をさせていただいています」

 “最近、悩んでばかり”とお疲れのアナタ。1度、自分の人生への“選書”をしてもらってみては?

◎北海道砂川市西一条北2丁目1-23 営業時間/9:30~18:00、10:00~15:00(土・祝) 定休日/日