嵐の櫻井翔(2015年6月)

 嵐・櫻井翔の主演ドラマ『先に生まれただけの僕』(日テレ系)が、低調だ。

 10月14日放送の第1話こそ、平均視聴率は10.1%と2桁スタートを飾ったものの、翌週、21日の放送で7.5%と、急落。

 土曜22時の同枠ドラマとしては、前クールの関ジャニ∞・錦戸亮主演の『ウチの夫は仕事ができない』の2話が9.1%。KAT-TUN・亀梨和也と山下智久の共演でも話題を集めた4月スタートの『ボク、運命の人です。』の2話が9.6%という視聴率を獲得していることを考えると、やや物足りない数字といえる(ちなみに『ボク~』の視聴率が7%台を記録したことは1話もなかった)。

 ドラマの舞台は、総合商社が経営し“不採算部門”扱いされる、私立高校。櫻井が演じる鳴海涼介が、優秀な商社マンだったという経験を活かしながら、学校を立て直していく、<オリジナル社会派エンターテインメントドラマ>(番組公式サイトより)。

「35歳の校長先生ということで、櫻井くんのフレッシュさが生かされるような“ドタバタ学園コメディ”を期待した視聴者も少なくなかったようですが、ドラマはものすごくストレートなつくりの社会性の強いものでした。

 櫻井くんといえば同局の『NEWS ZERO』のキャスターとしてもよく知られていますが、まさに“キャスター・櫻井翔”の延長のようにも見えます」

 と、ドラマウォッチャーのライターは言う。

ドラマでは“キャスター・櫻井”の姿は見たくない

「まるで映画のような質感と陰影を強調した映像、力の入った脚本、豪華な共演者陣など、プラスの要素を盛り込んでいるのに、結果的に“食べ合わせ”が悪い形になっています。

 奨学金、スクールカーストなど、近年の教育環境の話題を盛り込んでいますが、それを前面に出しすぎている感もあり、どこか『ZEROの櫻井キャスター』が取材したニュース映像を見ているような気分にもなり、立て直していくワクワク感のようなものが希薄になっている。

 本人は、“アイドル嵐のメンバー”としての出演、と見られることを嫌っているという見方もあるようですが、多くの人が見たいのは、やはり“嵐の翔くん”なのかもしれません」(前出・ライター)

 ドラマの前枠で放送されているのは、嵐の冠番組『嵐にしやがれ』。21日放送の『嵐にしやがれ』の平均視聴率は、11.6%と好調。単純にみるなら、ドラマで4%の視聴者が離れたことになる。

裏番組の関係もあるかと思いますが、『嵐にしやがれ』で笑ったあとで、そのまま社会派な櫻井くんを見るというのが、いい流れとしてつながっていない。櫻井くんに漂うインテリ感や育ちのよさがあるからこそ、バラエティでポンコツぶりを見せたり、顔芸を見せるなど、そのギャップが生きる気がするんです。

 昨年放送された、車椅子バスケの特別ドラマ『君に捧げるエンブレム』(フジテレビ系)も、視聴率的には成功とはいえませんでしたが、ドラマの世界でも“キャスター・櫻井翔”を見たくないのではないでしょうか。日テレは昨年から『嵐にしやがれ』とドラマの放送枠を入れ替えましたが、今回はその編成が災いしたかたちになっているかもしれません」(前出・ライター)

 とはいえ、嵐といえば、18日にリリースされたばかりのニューアルバム『「untitled」』は、オリコンのウィークリーチャートで66.8万枚、昨年の前作を上回る売り上げで、なお快調である。しかし、ジャニーズ事情にくわしい芸能記者は、

「売り上げの数字がすごい一方で、嵐も近年誰もが知っているヒット曲があるとはいえない状態が続いています。翔くんは嵐の中でも人気メンバーではありますが、高視聴率を獲得するには、熱心なファンだけではなく、一般的な視聴者をつかむことが大事ですからね」

 という。

「10代のころにはヘソピアスをしてたりなど、本来はチャラいところもあったわけですから、たとえば、そんな元DQN的な先生がある日、突然、校長になって翻弄されて、といったもののほうが、嵐ファンにも気楽に見てもらえるドラマになったのかもしれません。

 やっぱり、いいもの、質の高いものをやらせないといけない、すっかり立派になった“翔くんの格”みたいなものが邪魔してるのかなという気はします」(前出・芸能記者)

 28日放送予定の第3話では、退職した数学教師の代わりに、“櫻井校長”が自ら教壇に立ち、数学の授業を行う。どんな授業ぶりを見せてくれるのか、その姿に興味を抱く視聴者が増えることを祈りたい。

<取材・文/渋谷恭太郎>