“障害”を知り支援を受けてラクに

 日本では、ここ20年ほどで発達障害の子どもの数が急増したと言われている。文部科学省が’12年に実施した調査によれば、全国の公立小中学校(宮城・岩手・福島を除く)に通う通常学級の児童・生徒のうち、6・5%に発達障害の可能性があるという。

 その理由を緒方さんは、

「環境や食生活の変化などと言う方もいるのですが、専門家の間では“発達障害という視点で見るようになり、発見される確率が上がったから”と言われることもあります。かつてはクラスに2、3人はいた変わり者が、実は発達障害だったのかもしれません」

 また最近は、大人の発達障害も注目されている。

「社会全体において仕事内容が高度になり、うまく適応できない人が増えているからと思われます」

 これだけ認知されてもなお、“障害”という診断を本人や家族が受け入れられず、相談に足を向けないケースは珍しくないようだ。

「“障害”という言葉がまだ偏見や差別に結びつきやすい。支援を受けるためにもらう名前と思ってもらえれば

 ’05年に発達障害者支援法が施行され、全国の都道府県と政令都市に支援センターができた。

 気になる人はまず最寄りのセンターへ問い合わせるのがいちばん。

発達障害のある人は“できずに傷つく”ということが多々あります。特に大人になって就職活動や仕事がうまくいかず、うつなどの二次障害を発症する人もいるほど。できれば、小さいころから支援を受けて自分の特性に気づき、うまく生きるための工夫を身につけてほしいです」

<教えてもらったのは>
NPO法人ぷるすあるは
精神障害や心の不調、発達障害のある人や、その家族を応援するべく、絵本やウェブサイトを通して情報を発信。ともに制作部のスタッフで、本職は行政機関で働く臨床心理士でボランティアとして参加する緒方広海さんと、精神科看護師で絵本やイラストを担当する細尾ちあきさん。