鈴木紗理奈

 7月に開かれたマドリード国際映画祭で最優秀外国語映画主演女優賞に輝いた鈴木紗理奈。

 彼女を栄冠に導いた主演作『キセキの葉書』が、いよいよ全国公開となった。

「いいことづくしで、何か嫌なことの前ぶれかとちょっとビビってます(笑)」

 いまだに信じられないと喜びを滲ませる鈴木。

 そこには“バラエティーの紗理奈”のイメージとは違う、極めて謙虚でまじめな“女優”としての姿があった。

「こういうときこそ、まじめに頑張らないと。“天狗になったらアカン、勘違いしたらアカン”と、むしろこれまで以上に身が引き締まりました」

 実は、“40歳になったら女優業にも本腰を入れていきたい”と、数年前からマネージャーには打ち明けていたのだそう。

これまで“大阪の鈴木紗理奈”というキャラクターで生き抜いてきました。たまにはブレたいときもあったけど、そこだけは守ってきたんです

 これまで貫いてきたキャラクターを振り返ったとき、鈴木自身にしかできない演技がきっとあると思い始めたという。

「“どんな役でもいい、何番手でもいい、大阪女の代表的な女優さんになりたい! もし、お芝居の話が来たら私の耳に入れてください”ってお願いしてきたんです」

 映画では難病の娘と、認知症とうつ病を併発する母に挟まれながらも前向きに生きる主人公を演じている。

「作品には7歳の男の子が出てくるんですが、うちの息子もちょうど同じ年。

 子育てを一生懸命やっている中で、母親役として評価をしていただけたのはうれしかったです」

 そんな彼女は'13年に約5年間の結婚生活に終止符を打ち、私生活ではシングルマザーとしても奮闘中だ。

「人によっていろんな環境があるから一概に離婚がいいとはすすめられないけど、私はシングルマザーになってすごくよかったと思ってて。あのとき離婚を決断した自分に拍手を送りたいくらい(笑)」

 仕事に家事に育児にと、もちろん体力的に厳しいときもあるが、それでも後悔はないと語る。

結婚していたころは旦那と意見が分かれたりして、中間の意見をとらざるをえなかったんです。でも、例えば、“こういうのが教育にいい気がする”と思ったとき、パパがいたら違うことを言うかもしれないけど、今は全部、自分の意思で実行に移せる。そのぶん責任も自分にあるけど、そこがまた、しびれるんです(笑)

 すっかり“母”になった顔を見せる彼女。

 そこにはシングルマザーとして生きていく強い覚悟がうかがえる。

「ずっと甘えてたんですよ。以前は旦那さんや周囲に“ああしてほしかった”とか不満しかなかったけど、今はひとりだから何かしてもらうことに感謝しかない。

 毎日必死だけど、“今日も頑張った”と、1日を終えてグビッて、お酒を飲んで寝る……そんな日々が超楽しいです!」