津川さんの体調に合わせて撮影が進んだので、スケジュールが押したり、順番を入れ替えてほかのシーンを先に撮るといったこともありました。

 日程を大幅に調整しなおすことになったので、撮影は綱渡りでしたよ。津川さんの出演するパートになると“ミスを犯してはいけない”と、スタッフの間にも緊張感が漂いました」(同・制作会社関係者)

ついに体調不良で……

 何とか撮影に臨んでいた津川だったが、11月1日のクランクアップの日、ついに体調不良で現場に来られなくなってしまった。

「4、5日後に撮り直しをすることになったのですが、津川さんの体調は回復しませんでした。時間的にもう日程を延ばすことはできなかったので、撮影できなかったシーンは以前の映像を使い回すことに。声も、あとで録音してつなぎあわせるしかありませんでした」(同・制作会社関係者)

 現場の努力でなんとか形にしたものの、最初に予定されていた打ち上げの日程も変更されることに。ほかの仕事が入ってしまった人もいて、重要な役どころを演じた鹿賀丈史は参加できなかった。

打ち上げ会場から出てきた津川の鼻からは、酸素チューブがのびていた
打ち上げ会場から出てきた津川の鼻からは、酸素チューブがのびていた
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ドラマの内容にちなみ、打ち上げは渋谷の雀荘で行われました。それぞれが好きなものを頼んで飲むというアットホームな会でしたね。ありがちなビンゴ大会などはなく、お酒を飲みながらの麻雀大会です。スタッフやキャストも合わせて40〜50人ほどが集まりました」(前出・会の参加者)

 撮影に来られないほどの状態だったのに、津川は強い責任感からか打ち上げには無理をしてでも顔を出さなければとの思いがあったようだ。

 チューブで酸素を補給しながら、スピーチに立ったという。

「いらっしゃったのには驚きましたね。ご病気の状態が気になりましたが、誰も聞けませんでした。挨拶の番が来ると、“最後の撮影では、みなさんにご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。自分としてもとても悔しかった”と話されました。

 このことを伝えるために、わざわざ会場までいらっしゃったんでしょう。とても律義で人情味がある方だなと思いました」(同・会の参加者)

 会場にいたのはわずか10分ほど。ゆっくりとした足取りだったが、自分の足で歩いて帰りの車に乗り込んだ。