芸能記事でたびたび見かける“有名人”と“高級車”の組み合わせ。場合によっては当人よりも車に興味が湧いてしまうこともある。

 ファッション通販サイト『ZOZOTOWN』を運営するスタートトゥデイの社長である前澤友作氏が新しい彼女とデートしているところがフライデーされた。

 お相手は17歳下の女優・下京慶子。写真週刊誌『FRIDAY』の冒頭見開き2ページにわたって車から降りるふたりの写真が掲載されている。

 だが、ページを開いて目に飛び込んできたのはふたりの姿だけでなく、彼らが乗っていた黒いリムジン。

 記事中で“ZOZOバッハ”と記されているこの車はメルセデスの『マイバッハ』という超高級車だ。車好きでなければピンとこない名前だが、

スポーツカーは別にして、目が飛び出るほどの価格の超高級車、しかもショーファードリブン(運転手付き)の車といえば誰でもロールスロイスを思い浮かべるでしょうが。実はロールスと肩を並べるほどの名車です」(カー雑誌記者)

 紆余曲折の経歴を持つ同車の歴史は古く、1909年にガソリン自動車の発明者のひとりに数えられるヴィルヘルム・マイバッハと息子のカールが設立したメーカーで製作された。

 ヴィルヘルムは飛行船ツェッペリン号に搭載されたV12気筒エンジンを製作したことでも世界に名を知られ、

第二次世界大戦中のドイツ軍戦車のエンジンはほぼマイバッハが独占していたという名門メーカーでした」(前出・カー雑誌記者)

 ところが、1969年に他メーカーの傘下になり、その名前が消えたのだったが、'02年にメルセデス・ベンツから新ブランド『マイバッハ』となって復活。 

「装備や仕様はすべてオーダーメイドすることができ、内装の化粧板をウッドから大理石に変えることも可能でした。

 当時('02年)の販売価格は4100万円からでしたが、オーダーの内容次第では6000万円から8000万円くらいになりました。

 しかしブランドイメージが浸透しなかったせいか、利益が出なかったということで'13年にブランドそのものが廃止になってしまったんです」(前出・カー雑誌記者)

 高額というだけでなく、そんな理由もあって、この車を所有している、あるいはしていた有名人、芸能人は意外に少ない。

「確認されているのは前澤氏とジャニーズのメリー喜多川氏、北島三郎、細木数子、三木谷浩史氏など、ごくわずかです」(写真誌記者)

 その後『マイバッハ』は'15年に『メルセデス・マイバッハSクラス』として再び復活。先代と比べて価格もグーンと押さえられ、2200万円台からというが、

「昨年発売された『プルマン』という最高グレードは完全受注生産で、納車まで半年以上はかかるそうです。ベーシックな価格は約6000万円ですがオーダーの内容次第では9000万円くらいになるそうです」(前出・カー雑誌記者)

 高級車は成功の証なら、超高級車は頂点を極めた証かもしれないが、どちらにしても我々庶民には縁がない話だ。

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。