食べているつもりでも栄養が十分でないカラクリとは?

 身体に必要な栄養として、タンパク質、脂質、糖質(炭水化物)の「三大栄養素」というのは、誰しも1度は聞いたことがあるはず。

「三大栄養素は、身体をつくる原料となったり、エネルギーを生み出す燃料として、とても大切な栄養素です。しかし、三大栄養素だけをとっていれば健康を保てるとはいえません。三大栄養素の働きを調整し、助ける役割を果たすのが、ビタミン、ミネラル、そして繊維。この3つを合わせて六大栄養素といいます。

 これらがそろわなければ、三大栄養素はエネルギーや身体の原料として上手に働くことができず、結果的に肥満や不調を招くことになるのです」

 その点を踏まえ、現代の日本人の食生活を見てみると、問題点が浮き彫りに。

「食べる組み合わせが悪く、栄養価のバランスがとれていない。タンパク質、脂肪、糖質の三大栄養素はコンビニ食でも十分にとれますが、それを左右するミネラルとビタミンが足りていないために、結果的にとった栄養が無駄になってしまっているんです」

 つまり、カロリーは足りていても、代謝に関わるビタミンやミネラルが不足している“高カロリー低栄養素”な状態に。

 さらに、タンパク質は肉や魚や豆類、脂質は油類、糖質はパンやご飯、麺類と、食品が目に見えて過不足がわかりやすいのに対し、ビタミンやミネラル、繊維は野菜、果物、海藻をはじめとするさまざまな食品に少量ずつ含まれているため、バランスよくとるのが難しく、不足しても自覚しにくいのも厄介な点です。

食事のベストバランスへの近道

 六大栄養素も上手に生かすには、とり方にポイントが。

「1日2食や1食主義という方もいるようですが、1日24時間という地球の生理と人間の身体のサイクルから考えると、1日3食とるのがいちばん効率よく身体に吸収され、健康を保てる食べ方といえます。また食べる量は3食とも同等のカロリー、量で分けるのがおすすめです」

 栄養の割合では、炭水化物を全体の60%、残りの40%がタンパク質と脂質というのが基本。ただし、これも正しくとるには調整が必要。

「例えばタンパク質なら、必須アミノ酸が多いものを一緒に食べないと、十分に吸収されずに流れてしまいます。脂質もとりすぎれば悪者になりますし、ビタミン・ミネラルも、摂取のバランスによって働きが変わってしまいます。

 つまり、栄養は複合的に成り立っているためバランスが重要。ですから、単品ではなく、なるべく多くの食材をとるのが効率のいい食べ方といえます」

 そんな中でも、年代別の傾向として40代までの女性は鉄分、50代以降はカルシウム、60代以降はタンパク質が不足しやすいので、補給を心がけたい。

【健康につながる栄養素の組み合わせ例】
★炭水化物×ビタミンB1
ビタミンB1を一緒にとることで、糖を効率よくエネルギー源にできる。
★鉄×ビタミンC
ビタミンCが鉄の吸収をサポート。貧血の予防、改善に役立つ。
★カルシウム×ビタミンD
ビタミンDが不足しがちなカルシウムの吸収を助け、骨の代謝にも関わる。