雨の日は自宅すぐ近くのマンション駐車場で風雨をしのいでいたらしい
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根底には寂しさがあるのでは

 関西大学社会学部で社会心理学を研究している池内裕美教授は、ゴミ屋敷の住人について、

「ホーディング・ディスオーダーという病気です」

 大量に物を収集することをやめられなくなると指摘。

「コレクションと違いホーディングは無秩序で、目の前にあるもの全部、自分のものになりそうなものは、手っ取り早く持って帰ってしまう。本人にしかわからないポリシーがあるかもしれませんが、他人にはそれは一切わからない。なかなか治らない病気です」

 発症のきっかけとしては、幼少期に欲しいものが手に入らない経験をした、大事な人を失った、地域から孤立しているなどが考えられる。

「唯一、コントロールできるものが物。だから自分にとっては宝なのかもしれないですね。空虚感がちょっと満たされることを学習すれば、やめられなくなる一種の依存ととらえられなくはない。おそらく、複数の要因があると思いますが、根底には寂しさがあると思いますね」(同・池内教授)

 市役所も、そういった点のケアを目指しており、

「行政代執行だけで片づけても解決にはならないと思っています。条例には、福祉の関係につなぐとか、本人に対する支援対策も入れております」

 来年4月の施行を目指すがゴミ屋敷が一掃される魔法の法律になるのか、周辺住民は注視している。