「街では“宝塚ですか?”と声をかけられます。僕と会えたら幸せになれる、なんて噂(うわさ)を聞いたときはびっくりしましたけど(笑)」

 どこから見ても宝塚の男役の月城すみれさん。しかし“男装の麗人”ではなく、れっきとした男性。京都では“会えたら幸せになれる”なんて都市伝説にも!

「そうやって覚えていただけて話題になるのは、ある意味、計算どおりだなと思っています」

 芸能人なのかと思いきや、『塩見家 とんとん』という中華料理屋の広報を担当している営業マン。しかも、神戸大学理学部物理学科を卒業したあと、京都大学の大学院に入学し、人間環境学研究科で糖尿病の研究をしていたというエリート。どうして宝塚コスプレで飲食店の広報に?

「大学で勉強していても親の敷いたレールの上を進んできただけで、自分の中では先の人生が雲がかかっているようにしか見えなかったんです。そんなときに面白半分で入ったコスプレのお店で“あんた、宝塚の男役みたいな顔やな”と言われ、“それや!”とひらめいてしまって(笑)」

 そこから趣味としてコスプレで街を歩くようになり、京都ではちょっとした有名人に。そして知り合いだった会社のオーナーに誘われたのが今の仕事だという。

「もともとビルのメンテナンス会社の経営をしている人だったんですけど、飲食店を始めて、ゆくゆくは生産から加工・流通までを担う、第6次産業にしたいと。そこで広報として宝塚コスプレで働かないかとお話をいただいたんです」

 この仕事が自分の天職かというとまだわからない、と笑う彼だが、

「インパクトはあって、みなさんに覚えられますし。言ってしまえば、マスコットキャラ的なイメージで展開していければと」

 月城さんに会うには、どうすればいい?

「基本、神出鬼没なんですけど、京都の左京区がメインです。下鴨あたりから一乗寺、百万遍のあたり。もし見かけましたら、お気軽に声をかけていただければ」