主務マネージャーとして強豪・駒澤大学の陸上競技部を支え、現在は公務員ランナー・川内優輝さんのものまねでもお馴染み、“ものまねアスリート芸人”として活躍するM高史さん。マネージャーの仕事内容について、そして箱根駅伝の舞台裏を語ってくれました。

M高史のここだけの話「監督の娘さんの 宿題も見ました(笑)」

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 箱根駅伝と藤色のユニフォームに憧れ、一般入試で駒大に入ったМ高史さん。しかし、当時の駒大陸上競技部は箱根駅伝2連覇中(その後、4連覇)。とてもじゃないが、歯が立たなかったそう。

「1年の終わりくらいに、監督からマネージャーへの打診がありました。いてもいなくてもわからないような選手でいるよりは、チームの役に立てる存在になりたいと思い、マネージャーへの転向を決意しました

 2年は副務、3年からはマネージャーのトップ・主務に。その仕事は運営におけるすべてだ。

「タイム計測や準備・片づけなどの練習のサポートはもちろん、試合の申し込み、合宿の宿舎や交通の手配、大学広報に掲載する原稿の作成、合宿届や試合届などの書類提出、マスコミの取材対応……、休みと給料のない社会人みたいなものです(笑)。監督の娘さんの宿題も見てました(笑)

 駒大の監督といえば、“男だろ!”の激励でも知られる大八木弘明監督。

怖かったですね〜(笑)。9割9分、叱られてました。選手が練習中にトイレに行ったら僕が叱られるなど、理不尽なことも(笑)。残りの1分に救われてましたね。監督からの“おまえの力が必要なんだ”という言葉とか。辞めたいと思ったこと? 100回以上ありますよ(笑)。でも、その手前の段階で、やることがあまりに多すぎて、それどころじゃなかったですね」

 箱根駅伝当日は、どんな仕事をするの?

1区の選手と同じ朝2時に起床。選手の健康チェックをし、軽い朝練をしたら、持ち場へ移動。2年時は寮に待機して情報収集。3、4年時は運営管理車に同乗しました。車内では1キロごとに選手のタイムを計測。同時に、ほかの部員と連絡を取り合い、レースの状況を把握し、即座に監督に報告。ものすごい大変です。でも、今はLINEがあるから、その作業もずいぶんやりやすそうですね」

 箱根駅伝は往路・復路とも6時間もの長丁場。食事やトイレはどうしてるの?

朝はおにぎりを食べ、水分は極力控えます。“トイレに行きたいです”なんて、口が裂けても言えませんから。ただ、同乗する大会の役員さんが1度だけトイレに行かれて、その間に選手がどんどん先に進んで見えなくなってしまい、監督は不機嫌に(笑)。マジで気まずいわけです」

 いちばんの思い出は4年時の箱根駅伝

「10区を走っていた4年生は最初で最後の箱根、しかも仲のいい選手だったんです。車の中から応援していたら、監督が“最後、お前が応援していいぞ”と監督専用のマイクを手渡してくださって。必死に応援しました。すごいことをやらせてもらいましたね」

 卒業後は、福祉の道に進んだM高史さん。監督は陸上関係の転職の話を持ちかけてくれるなど、気にかけてくれたという。

「芸人になると伝えたときは、すごく驚かれましたが、“やるからには1番を目指せ”と言ってくださいました。そして、監督からいただいたこの言葉を大切にし、実践しています。

 “人から喜ばれる、人から必要とされる、人に感動を与えられるような人間になりなさい”

<プロフィール>
M高史さん◎’84年生まれ。駒澤大陸上競技部で2年よりマネージャー、3年より駅伝主務を務める。卒業後は障害者施設で働き、’11年にものまねアスリート芸人に転身。公務員ランナー・川内優輝さんのものまねでおなじみ