突然死の危険が潜む冬の風呂場

 厚労省研究班の’15年調査では、入浴中の事故死は交通事故死よりも多く、年間1万9000人も亡くなっている。なかには不審死扱いとなり、警察の現場検証が入ることも。

「風呂場での血圧変動により心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす『ヒートショック』が生じ、突然死につながることも。高血圧の人はそのリスクが高くなります」

 池谷先生によれば、入浴中の突然死は、ヒートショックの影響による溺死が多いという。

「寒い脱衣所で血管が縮むことで血圧が上がり、さらに熱いお湯に入ると上昇します。そして身体が温まってくると血管が広がり、急激に血圧が下がり意識を失い、溺死に至ります」

 入浴中に最期を迎えないためには、

“オヤジのように入り、オジイサンのように出る”と患者さんに教えています。入るときは“ああ~~”と声を出してリラックスして入り、出るときはヨッコラショという感じで脚に力を入れて、ゆっくりと出るのがポイントです」

 リラックスして入ることで血圧の急上昇を防ぎ、ゆっくり出ることで血圧変動による脳貧血(起立性低血圧)を防ぐ。また入浴前に軽い運動をする、脱衣所を温めておくなどの下準備やぬるめのお湯に入ることも重要。こうした正しい入浴法を頭に入れておこう。