最初は取引先や仕事関係かと思ったんですよ。見たことがある人と一緒の通勤電車になって、“挨拶しなきゃ”と名前を思い出そうとしました。でも私服だし、見た顔なんだけども、何か……、“アッ、清宮だ!”って(笑)

 年の瀬迫った昨年12月下旬の朝7時半過ぎ、千葉県浦安市内の会社に勤める男性が車内で目撃した“見たことある顔”は、北海道日本ハムファイターズのゴールデンルーキー・清宮幸太郎選手だった。

 早稲田実業高校1年生時に出場した夏の甲子園で“清宮フィーバー”を起こし、3年間で111本のホームランを量産して高校通算本塁打記録を更新。昨年のドラフト会議で7球団競合の末に日ハムに入団が決まった、誰もが将来を期待するスーパースター候補だ。

 それだけに、この日も帽子に黒縁メガネとプチ変装するあたりは、やはり周囲の目を気にしたのだろう。しかし、カップルや家族連れでにぎわう“夢の国”方面に向かう電車では、誰ひとりとして存在に気づいていなかったようだ。

 車内では座席に座り、意外にもポータブルCDプレーヤーで音楽を聴いていた様子。契約金1億円に出来高払い5000万円、年俸1500万円の大型契約を締結したわりには“庶民的”とも言える。両親に物を大切に使うよう教育されてきたのかもしれない。

 やがて8時を過ぎて舞浜駅に到着すると、ご多分に漏れず電車を降りた清宮選手。

 なぜ彼は、この駅に降り立ったのか。その疑問はすぐに解消した。