気象庁のデータなどに基づき作成(作図/スヤマミヅホ)
気象庁のデータなどに基づき作成(作図/スヤマミヅホ)
すべての写真を見る

 いま全く同じ現象が起きたら、また誤報が繰り返されることになる。ところが、システムを早急に直すことは難しいという。

「再発防止策ですか……。現時点では具体的にどこをどう修正するか決まっていません。現状の性能を維持しつつ、改悪しないよう気をつけなければいけませんから。警報には迅速性が求められますが、警報を早く出そうとすると、正確性が落ちるという難しさがある。どのように改善するか検討中です」(前出の担当者)

 緊急地震速報は地震の初期微動(P波)をとらえ、大きな揺れ(S波)がくる前に警報を鳴らす仕組み。気象庁の全国約270か所の地震計と防災科学技術研究所の約800か所の地震観測網のうち2点以上で地震波を観測し、最大震度が5弱以上になると予想された場合、予測震度4以上の地域が対象になる。

 2007年10月に運用が始まり、精度を向上させながら丸10年以上が経過した。現在ではNTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンク、ワイモバイルの大手携帯業者は基本的に初期設定で警報が鳴るようにしており、国民の認知度は高まっている。

東京湾に警戒が必要

 一方、立命館大学・環太平洋文明研究センターの高橋学教授(災害リスクマネジメント)は今回の震源地に近いエリアの鳴動に注目する。茨城県沖のすぐ南だ。

「千葉・犬吠埼沖で、この年末年始に地震が頻発しています。昨年12月10日にM2・4、同21日にM3・8、同29日にM3・6とM2・7、今年1月1日にM4・3とM3・0、警報が鳴った翌6日にはM3・2の地震があり、同10日にM4・8とM5・2と続きました。5日の茨城県沖も同じですが、海側の太平洋プレートが陸側のフィリピン海プレートの下にもぐり込む動きが活発になっているんです」(高橋教授)