(7)小銭貯金好き

 いかにも、ちまちました節約術じゃないかと笑ってはいけない。年間100万円貯めている家であっても、小銭貯蓄はしているのだ。着実に貯めている家庭は、まず給与からの先取り貯蓄をしているが、そのほかにも、日々のやりくり費が余ったらそれも貯める「残し貯め」や「500円玉貯金」、そして、財布の小銭はじめカバンの底やポケットの中から出てきた小銭を貯める「小銭貯金」など、とにかく細々貯めているものだ。

 500円玉貯金や小銭貯金で貯まったおカネは、家族の外食やレジャーで使う。だから、主婦だけでなく家族が協力して貯めてくれる。家族の楽しみのために皆で頑張りましょうとの目標を共有できる家は、大きなおカネも貯まりやすいといえる。

夫婦仲がいいことは重要ポイント

(8)夫も家事にかかわる

 先にも述べたが、夫婦仲がいいことは貯まる家庭の重要ポイントだ。もし、妻だけが家事を負担しているという不満が積もり積もると、ストレス解消のための出費が増えがちだ。友達との気晴らしランチ代や自分へのご褒美としてアクセサリーや服を買い込んだり。

 元来、おカネを使うことは楽しいはずが、憂さ晴らしに使うとすれば二重にもったいない。さらに、妻の不満が夫に向けられると、家にまっすぐ帰りにくくて寄り道が増え、夫側もムダ出費が増えてしまう。

 共働きであってもなくても、家事は妻任せが当然という態度は節約上も得策ではない。同様に、おカネのこともどちらかに任せきりというのも、いざふたを開けてみたら思っていたほど貯まっていなかったというケースも多い。

 家事も家計も、片方だけの責任ではなく夫婦でコミットし、情報公開を密にしておくことを心からおすすめしたい。これからの長寿社会においては、家事スキルは必須となるので、今のうちに奥様に習っておくにこしたことはない。

 おカネは家族の幸福な未来を叶えるために貯めるものだ。貯めることが、誰かの我慢やストレスのもとでは続かない。シンプルなむすびで恐縮だが、お互いへの感謝や協力あってこそ、貯まる家になれるのだと思う。


松崎 のり子(まつざき のりこ)◎消費経済ジャーナリスト 20年以上にわたり、『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』『ESSE』『Caz』などのマネー記事を取材・編集し、お金にまつわる多くの知識を得る。自分自身も、家電は買ったことがない(すべて誕生日にプレゼントしてもらう!)、食卓は常に白いものメイン(もやし、ちくわ、えのき、豆腐)などと徹底したこだわりを持ち、割り勘の支払い時は、友人の間で「おサイフを開くスピードが遅い人」として有名。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成した。また、「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアを研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)。【消費経済リサーチルーム】