日本卓球協会が発行している『勝利をめざす前に大切なことがある。』という卓球におけるマナーをまとめた冊子には次のようにある。

《自分のモチベーションを高めようとする言葉であったり、ガッツポーズはバッドマナーとはなりません。しかし大声で相手をののしったり、汚い言葉を使ったり、観客に不快感を与えた場合、バッドマナーとなり、イエローカードがでる可能性があります》

 対戦した水谷隼は、決勝戦前に報道陣に対して、

「うるさいから、聞こえないように耳栓でもしようかな」

 と、冗談めかして話していた。

イベントに登壇する水谷隼('16年9月)
イベントに登壇する水谷隼('16年9月)
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水谷選手の話はあくまで冗談であり、笑いながら話していました。確かにうるさいと思っている選手もいるとは思いますが、現場で張本選手だけが特別に問題視されているようなことはまったくありませんね」(前出・スポーツ紙記者)

 最年少で日本一に輝いた張本は、実力的にはどういったところがすごいのか? 張本や水谷を取材し、卓球に関する著書も多い、ノンフィクション作家の城島充さんは、

「とにかく“攻め続ける”という姿勢がすごいですね。普通はラリーをつなぐためのボールを相手に送らざるを得ないときなど、“守り”の場面がある。

 しかし、彼の場合は、すべてが攻撃につながるボールを打つ。波状攻撃がすごくて、これまでなかった超攻撃的なスタイルで、“新しい卓球”という人も多いですね。大会を通して見て、対戦した水谷選手も図抜けた存在でしたし、これまで何年も1人で卓球界を支えてきた水谷選手と一緒に2人で切磋琢磨していってほしいですね」

 日本一卓球が強い男も、まだまだ若すぎるほどに若い14歳の少年。未来につながる大きなかけ声を、大人なら静かに見守りたい。