ずっとひとりで生きる人=強い人間?

 そうそう、最近、自分がなぜ、ひとりの人生を送ってきたのか、わかったことがあるので、話したい。これは、近年まれにみる大発見! 70になったから見えてきたことと言える。

 ずっとひとりでいるわたしは、人から強い人間だと思われてきた。さらに、ひとりで生きられる勇気ある人だと。

「わたしなんか、寂しくてひとりでは生きられないわ。あなたはすごいわね」

 社交辞令だと思うが、しょっちゅう言われ続けてきたので、わたしもそう思ってきた。

 しかし、最近、そうではないことに気づいた。もちろんそういう面も持ち合わせているが、実は、本当のわたしは、自分でも嫌になるほど常識的な面を持ちあわせていて、勇気あるどころか、臆病なところがあるのだ。買い物や人前で話すときは大胆なのだが、こと人生の選択になると……。

 つまり、何を言いたいかというと、わたしが70歳までひとりなのは、ひとりが好きなのでも仕事人間だからでもなく、臆病だからだったのではないかと。結婚は自分だけではコントロールできない未知の世界。その世界に踏み出す勇気がなかったから、ひとりだということに、気づく。

「あなたは理想が高いから」と、若いころ、まわりの人からは言われ続けてきたが、シングルでこの年まで生きてきたのは、理想の出会いがなかったからでも、強いわけもなく、チキンハート(度胸がなくびくびくしている鳥のような心)で、結婚が怖かったからなのではないか。ヨーロッパひとり旅をする度胸はあっても、人の懐に飛び込めない自分がいる。