物理的な決まり事をなるべく作らない

 今作の演出を手がけるのはサラナ・ラパインさん。板谷さんと同世代で、ブロードウェイ作品でも活躍する注目の女性演出家。日本版の舞台演出は初となる。

「サラナさんに出会えたこともご縁だと思っています。今のところ言葉の壁も、感じていません。むしろラッキーだと思っています。日本語で日本人同士でわかったつもりで、物事が進むことがあるとしたら、今回はそういうことにはならないですから。絶対にわかり合えるまで、言葉がわからないからこそ探ると思うので。私の好奇心や質問に対して、プラスアルファをちゃんとくださる方だという信頼感があります。それに、同世代ということもありますし、合う気がするんです(笑)」

 初舞台で楽しみなのは?

「とにかく初体験なので、すべてのことが楽しみですし興味深いです。体力をしっかりつけて40代なりの入れ物を用意するだけ(笑)。あとはもう、その入れ物にいろんなものを吸収していくことしかないですね」

板谷由夏 撮影/伊藤和幸

 女優、キャスター、自身のファッションブランドのプロデュースなど、多忙を極める板谷さんは、9歳と5歳の男の子の母でもある。仕事と子育ての両立で心がけていることとは。

本当にいっぱいいっぱいで、毎日がもう24時間じゃ足りないし、ちゃぶ台ひっくり返したい瞬間なんて多々ありますし。本当に私の人生ギリギリだな〜って思うんですけど(笑)。日々やらなきゃならないことに追われていますし、“私、今日ぜんぜん座ってないな”って思うこともあります。

 でも、楽しいと思うんですよね、どんなことをやっていても。瞬間瞬間が。仕事も子育ても、あまり頭で考えずに、そのときそのときを楽しむように心がけています。何でも楽しまないともったいないと思うほうなので。それに尽きるかな。

 よく子どものお弁当だけは絶対に作るとか決まり事を作る方もいらっしゃいますけど、私は逆に決まり事を作らないです。決まり事を作ると自分が苦しむのがわかるから。そういう意味ではずるいんですけどね(笑)。気持ち的にはありますけど、物理的なことはなるべく決めない。もう流れるままにやろうと思っています。今日はお弁当作れた!パチパチってことにする(笑)

 最後に、読者へメッセージをお願いします。

「ぜひ、女性には見てほしいです。テーマは科学になっていますが、中身はすごく人間臭い、リアリティーのある人間関係の話です。ひとりの女性の人との関係や生き方を通して、人間って面白いなと思っていただけると思いますし、いろいろな発見があるはずです」

<舞台情報>

舞台『PHOTOGRAPH51』

“フォトグラフ51”とはDNAの二重らせん構造の発見において重要な鍵を握ったX線回析写真。パイオニアとして研究に没頭したロザリンドは、DNA構造の発見に貢献したにもかかわらず、その成果は日の目を見ることはなかった。科学にすべてを捧げた女性科学者と彼女を取り巻く5人の男性の運命とは……。ノンストップ90分の珠玉の会話劇。
東京公演:4月6日〜22日@東京芸術劇場シアターウエスト
大阪公演:4月25日〜26日@梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【公式HP】http://www.umegei.com/photograph51/

<プロフィール>

いたや・ゆか◎1975年6月22日、福岡県出身。’99年女優デビュー。映画、ドラマを中心に活躍。近年の主な出演作にドラマ『セシルのもくろみ』『同窓生〜人は、三度、恋をする〜』など。現在、映画の魅力を語りつくす『映画工房』(WOWOW)のMCや『NEWS ZERO』(日本テレビ系)でキャスターを務めるなど、幅広く活躍。この夏も舞台『大人のけんかが終わるまで』(7月14日〜29日@日比谷シアタークリエほか)に出演する。

(取材・文/井ノ口裕子)