俳優・実業家の保阪尚希

 萩原聖人や福山雅治らとともに“新・平成御三家”と呼ばれ、数々のドラマや映画に出演してきた保阪尚希さん。役者でありながら、自身がプロデュースする通販ブランド『保阪流』で、年商10億円以上を稼ぐ実業家としての顔もあわせもち、昨今は、そのビジネスの極意に注目が集まっている。

ビジネスも人間関係も損得勘定で動かないこと。
価値を生み出す原資を見極めること!

 芸能も通販も共通して言えることは、自己投資を怠らないこと。役者、タレントのときは、いかにして自分のパフォーマンスを上げられるか。対して、通販のときは商品が主役です。魅力的な商品にするために黒子として労を惜しまないことですね。

 ただし、「どうすれば儲かるか」といった金儲けを目的とはしません。金儲けを主とすると、当初の動機とは差異が生まれていくため、本当にいいものを作れない。僕は内臓破裂という大病をしたこともあり、予防医学として朝食でサプリメントと青汁を摂取しています。自分が納得したものに自信があるからこそ、『保阪流』のすべての商品をプロデュースしている。

 自己投資をする場合は、どんな立場であれ自分が納得できることが大切。同時に、お金を生み出すためには信頼が必要です。期待を信頼にまで引き上げるためにも、「これだけやったのだから大丈夫だ」といった自分自身を納得させる根拠をたくさん持っていることが望ましいですね。

 欲はあっていいと思うのですが、損得勘定で動くことはオススメしません。例えば、競馬で1万円を賭けレースに勝った。その払戻金のほぼ全額を賭け、またレースに勝つ。それを繰り返して勝ち続けると、何レース後には何百万になっている可能性がある。「なぜそんな賭け方をするんだ?」と思う方も多いでしょう。でも、原資は1万円。極端な話、1万円以下にならなければ、実際にダメージはないんです。

 僕は37歳のときに、長年の夢であったプロのカーレースに年間参戦するために、芸能活動を1年間、休止しました。周りからは、「十分な蓄えがあるからそんなことができる」と言われましたし、休止しなければ、もっと稼ぐこともできた。

 でも、僕は復帰後に僕自身が生み出せる価値を理解していたから休止を選んだわけです。損得勘定で動くと、「リスクを恐れる」「本来の目的を見失う」など雑念が増えてしまう。実際、人間関係においても損得で付き合うと、ろくなことにならないでしょ(笑)。自分にとって価値や可能性を生み出す原資が目減りするほうがリスキーなんです。

 昔、「芸能人は飴玉みたいなもの」と教えられたことがありました。いろいろな人が美味しい思いをしたいと寄ってくる……でも、なめられたほうはどんどん小さくなっていき、最後はなくなってしまう。たくさん失敗した人たちを見てきました。みなさんがお金を持ったとき、「自分は飴玉になっていないか」と立ち止まってみてください。

 本当にお金を稼げる人って、そういった飴玉感がない。逆に、そういう人が周りにいたら、距離をとるべきでしょうね(笑)。

名言
 まず自己投資をすることで、自分に自信が持て、ぶれずに生きていくことができる。

座右の銘
 人生においての絶対は死ぬこと以外にない

将来の夢
 世界のどこかに、社会インフラを整備した“街”を作る


<プロフィール>
ほさか・なおき◎1967年、静岡県生まれ。’86年ドラマデビュー。以後、多数の映画・ドラマに出演し、甘いルックスと個性的なキャラクターで人気を得る。’07年、自身の会社を設立。健康や食品関係の商品を扱うブランド「保阪流」を立ち上げ、数々のヒット商品を生み出す。ジュニア野菜ソムリエ、フードアナリストの資格も持つ。