でも、この「味覚分布地図」という説はすでに否定されています。一度、試しにやってみるとわかると思いますが、舌先だけで食べたとしても、甘味以外のすべての味覚をきちんと感じることができます。それどころか、いつもよりはっきりと味を感じることができるはずです。

 なぜなら舌先こそが、味覚を最も感じられる部分だからです。というのも、舌先 (舌全体の3分の2) は、感覚器官が特に発達している部分。味覚をより強く受け取れるところです。むしろ、舌先でなければ味覚を感知しにくいことが分かっています。

 私たちは「舌」という一つの大きな部分でとらえていますが、舌には3つの異なる神経が繋がっています。

● 舌先3分の2…味覚に特化した神経

● 舌奥3分の1…運動・知覚・味覚が混合された神経

● 付け根…飲み込みに関わる神経

当記事は「BUSINESSLIFE」(運営:ビジネスライフ)の提供記事です
すべての写真を見る

 舌先の神経が味覚に特化しているのに対し、舌奥の神経は運動や知覚にも通じているため、かえって味覚を感じにくくなってしまいます。つまり、本当に食べ物を味わおうと思ったら、「舌全体」というよりも「舌先」で味わうことがポイントとなるのです。

 舌先で味わい、味覚に最大限フォーカスしていく方法を覚えると、自分を客観視できるようになり、食欲が落ち着いていきます。ひとくちで感じる美味しさと幸福感が格段に上がるので、お腹と同時に心も満たすことができます。

 これが、前述した「量で満腹ではなく味で満足する食べ方」です。

 量の多い少ないに関係なく目の前の食事に満足できるので、「食べ足りない!」とストレスを感じることも、イライラして食べすぎることもなくなります。そればかりか、いつもの半分の量しか食べていないのに、2倍も3倍もおいしくなって、その分余計に食べる幸せを感じられるようになるはずです。