江頭2:50

 3月22日の放送で、30年という長い歴史に幕を降ろした、フジテレビ系人気バラエティ『とんねるずのみなさんのおかげでした』。31日には同じく同局の人気バラエティ『めちゃ×2イケてるッ!』の最終回特番が放映予定だ。

 かつては大人気をほこった番組だけに、とんねるずやナインティナインなどレギュラー出演者たちの今後の動向も話題になっているが、ピンポイント的に登場し「爪あと」を残した、準レギュラー扱いのタレント・芸人たちにも、番組終了の影響は大きい。

 その筆頭格が、江頭2:50。上記2番組にも頻繁に登場し、その都度、茶の間や共演者を笑いに包んできた。そんなエガちゃん、そこに加えて準レギュラー状態だった『「ぷっ」すま』(テレ朝系)も、同じく3月いっぱいで最終回を迎える。

 2月15日放送の『みなおか』に出演した際、とんねるずらに対して、「『めちゃイケ』も『「ぷっ」すま』も『みなおか』も全部なくなるから、テレビ出ない人になる!」と、4月から地上波で見られなくなってしまうと訴えた。

『みなおか』『めちゃイケ』終了による“難民芸人”は、もちろんエガちゃんだけではない。

『みなおか』の人気企画「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」シリーズに、毎回のように出演する芸人・オラキオも、3月17日放送の『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)に出演し『みなおか』終了を嘆いていた。ちなみにこの日の番組サブタイトルは、《『みなさん』『めちゃイケ』終了被害問題》というものだった。

「いわゆる“ひな壇”トークができたり、ロケ物が得意だったりする芸人ではなく、ピンポイント的に使われていた芸人は、他の人気番組にそのまま使われるというのはきびしいですよね」

 と、ある芸能記者は言う。

「江頭さんなんかは、特に面白かった場面を考えると、やっぱり『めちゃイケ』や『「ぷっ」すま』での活躍が浮かんでくる。名物企画といえばこの人、といった感じで、“その番組に出てた人”という色が強いこともまた、他で使うには悩ましいところかもしれません」(同・芸能記者)

 また、彼らを生かす側でもある放送作家は、

「ワンポイントで出てた人は、別の番組での使い方が難しい。そうなると、どうしても単純に出番は減っていきますよね」

 と語る。その理由について、

「たとえば出川さんは“いじられる人”だからウケている。江頭さんには、いじられると、そのいじりを跳ね返したり、乱そうとする面白さがあります。地上波でのネタ番組もほとんどないですから、今のバラエティの傾向からすると、いじられるかどうかというのは大きいです」(同)

 番組を進行するMCのタレントや芸人がいて、彼らがいじって面白くなるかどうかが重視されるという。

「ロケVTRをスタジオで見る番組でも、彼らが身体をはったりしたVTRを見終わった後に、いじられて、何かひと言返す。それで笑いが成立しますからね」(同)

 今のバラエティ番組の傾向では、番組MCとの関係性で笑いが生まれるが故に、別の番組での起用が難しくなる、というのだ。大量に発生するかもしれない春の難民芸人たちだが、その活躍の場について、

「いまはもう、地上波ばかりではないですからね。AbemaTVなどのインターネットテレビやYouTubeなどもあって、そっちで火がつくパターンも増えてくると思います。ネタも見せつつユーチューバー的に活躍する芸人さんもますます出てくるのではないでしょうか」

 意外な知識や特技をもつ芸人も、新たな道が開かれる可能性も高いという。

「何かの専門的な存在になって、面白く展開することができれば、そういう新たな使われ方も出てくると思います」(同)

 31日放送の『めちゃイケ』最終回5時間特番に、江頭2:50は出演予定。番組の最後を飾る「伝説」に期待したい。

<取材・文/渋谷恭太郎>