ーーある意味、大川興業は登竜門的な存在だったのですね。現在、芸人はお笑い養成所を出てデビューするというのが一般的な流れだと思うんですが、どう思いますか?

「お笑い養成所の存在は、ある意味で芸人の幅を狭めているような気がしますね。

 今、芸人になるのに100万円かかると言われていて、それは養成所の入学金やライブのチケットノルマとかでね。だから、お金がないと芸人になれない時代なんですよ。俺はおかしいと思う。

 お金がなくても、笑いへの情熱があるヤツが芸人になるべきだと思う。だからうちは、一切お金を取らない。実際、スクールというか事務所内でのネタ見せを通してお笑いの指導をやっているのですが、それすらも完全に無料ですから」

ーー大川興業がお笑いのレッスンをやっているというのも意外な感じがしましたが。

「さすがに芸人として、最低限のことは教えますよ。俺も月に二回教えています。あとは、副総裁と放送作家さんで。

 授業内容は、若手芸人のスマホ画面を大きいスクリーンに映して、Yahoo!の検索履歴を見るんです。そうすると、たいがい、18禁のサイトとか出てきて、それを見ながらバカなことを言い合うんですよ。これが面白いんです。

 あとは、一応テレビでの立ち振る舞いとか、テレビ的な笑いなんかも教えていますよ」

ーーそのほかに、大川興業ならではのシステムなどあればお聞きしたいのですが。

「資格ですね。俺が、資格を取らせるのが好きで、若手にやらせるんですよ。銀河と牛というコンビには、アマチュア無線の資格を取らせるのに、機器の購入代金含めて4万円出しましたよ。なのに、あいつら最近、おはじきサッカーに興味出しちゃってね。参っちゃいますよ(笑)。

 あとは、秀真&拓磨というコンビには、ドローン買い与えました。保険込みで10万円。これでドローン芸人になって、色んなところの空撮して来いって」

ーーちなみに総裁は、どんな資格をお持ちですか?

「ないです(笑)。取らせるのが面白いんですよ、だから、若手にも楽しんで取って来いと言ってます。これは、俺の趣味ですね。だから、費用も出してやるから取って来いというわけです。何がきっかけで売れるかわからない時代ですから」