ーーこの「さんま脳」をもったまま共演経験を積むことで、憑依の精度が高まっていくわけですか。

ほい「これまで多くの番組で、さんまさんにまつわる色々なお仕事をさせていただきました。

 たとえば、大竹しのぶさんが紫綬褒章を受賞されたときも、わたしが、さんまさん役でインタビューに答えるというオファーを『ミヤネ屋』さんからいただいて。

 それで、“たばこを吸いそうで吸わないさんまさん”というネタをやりながら、インタビューに答えたんですが、その時、そのネタを宮根さんが大絶賛してくれたんです。そしたら今度は、IMALUちゃんの熱愛に関するインタビューの依頼が来て、さらにスタジオにも呼ばれました。

 それからは『行列のできる法律相談所』などの再現VTRに出演させていただいたり、徐々にオファーが増えるようになりました」

――いまでは『行列』に欠かせない存在だと思いますが、さんまさんのマネで難しいと感じられるところは?

ほいさんまさん本人から“もっと声を張れ”と言われるんですが、実は、テレビ出演時のさんまさんが発している音域で声を張り続けると、喉が潰れちゃうんですよ。

 だから、最初は加減がわからなかったので、テレビのテンションでやっていたのですが、それだと喉が持ちません。だから、最終的にはラジオのさんまさんのトーンで定着しました(笑)。もちろんカラオケに行ったり、声を出し続けたり、努力はしているのですが、そう簡単にはいきませんね」

 さんま本人からも認められるような「域」に達したほい。彼が言うところの“さんまさんのものまね”とは「憑依」そのものだそう。

ほいさんまさんのものまねは、究極の役作り。たとえば、状況を与えられれば、さんまさんの言っていないこと、やってないことでも、本人に成りかわり、なんでも表現することができます。

 それくらい、突き詰めるべきなんだと思いますよ。ものまねの究極は“憑依芸”なのかもしれませんね

 ちなみにこの日、取材時間1時間を予定していたのを3時間もノンストップで喋り通してくれた。さんまに負けず劣らず、ほいもお喋りが大好きらしく、この日も“憑依”していたのかもしれない。



◎元吉本新喜劇所属。芸人、役者時代の人脈を活かし、体当たり取材をモットーに既成概念にとらわれない、新しいジャーナリスト像を目指して日々飛び回る。