少し舌先に唾液をあてたり丸めたりして舌先の感覚を探ります。それでも食べたいと思うようならば、それは必要なエネルギーです。ありがたくいただきましょう。想像するとちょっと変態チックですが、食事瞑想をある程度経験してきたならば、必ず「なるほど」という、しっくりくる、舌先と胃の声がわかる瞬間が訪れます。

 自分が何を食べたいかではなく、体が何を欲しているのか、それがわかったとき、食欲は不思議と落ち着くようになっているのです。

 ちなみに、食べ放題やビュッフェスタイルの食事をするときには、すぐに列に並ばないのが得策です。どんな料理があるのか全体を外からぐるりと一周してから並ぶと、食欲も落ち着きやすく、食べたいものの配分がうまくできます。

食べたいのではなく「噛みたい」だけ

「それでもやっぱり食欲がおさまらない」と、壁にぶつかってしまう人たちがいるのも事実です。

「間食のスナック菓子とか、袋入りのお菓子とか、そういうものを一度開けてしまうと、なくなるまでやめられないんです。」

 たとえばこうした症状を食欲の強さと間違える方がいますが、実はそうではありません。この方々が食べるをやめられない理由。それは「一口目の噛む」がやめられないからです。

 カウンセリング中、こうした症状を訴えるお客様は、最終的に「ストレスがたまると固いものが食べたくなる!」と言う傾向が強くなります。ナッツやおせんべい、飴など、固いものがどうしても欲しくなるというのです。

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 つまり、彼らが食べることをやめられなくなる1つの理由は、「固いものを噛む」 に取り憑かれていることです。

 前歯で食べ物をかじったら、一口目は奥歯で噛むのですが、食べるがやめられない方はその一番最初のガリッと噛む快感を求めています。固いものを噛んだときの強い刺激を快感として感じるので、永遠に食べることを続けたくなってしまいます。

 厄介なのが、一口目しかその快感を得られないこと。舌先で味わっていると、食べ物はどんどん柔らかくなっていき、いくら噛んでも快感として受け取れなくなります。やがて噛み方も食べ方も適当になり、さっさと胃に放り込むことになります。

 そして、まだ口の中に食べ物が残っているのに一口目の快感を求めて口の中にものを入れたくなるのです。こうなるともう満腹感など関係ありません。目の前にある自分に快感をくれるものがなくなるまで永遠に食べ続けます。

 この一口目の快感に取り憑かれている方は、「食べることがやめられない」と言い ますが、そうではなく、「一口目の噛む」がやめられないのです。

 また、普通の食事は問題なく舌先で味わえるのに、間食になると止まらなくなる、 という方は、この手の刺激に取り憑かれている可能性があります。

「食べる」と過去の出来事は結びついている

 もし、あなたが「一口目を噛む」に思い当たる節があるなら、もしかしたらそれは、「食べることが過去の出来事と結びついているから」かもしれません。