ところがそれ以降、原発ゼロに等しい状況で何度も夏をクリアしています。安倍政権は再稼働をしたくてたまらないけれど、なかなか現実には進まないから、全国にある原発のほとんどは動いていない。では、電力不足になっているかというと、違いますよね?

 それでも原発に固執する政府は理解不能です。夢のエネルギーと言い続けてきた手前、やらざるをえないのかな、と。核を持つために必要だとか、抑止力になるという政治家も一部にいますが、国際社会が許さない。少しでも将来の核保有につながりそうな兆しがあったら、アメリカが徹底的につぶしにかかります。現実離れした妄言です。

 一方でこの間、再生可能エネルギーの発電量は格段に増えています。これは世界的な潮流で、再生エネへの100%の移行を掲げる国まであるほどです。民主党政権時代に、固定価格買取制度という再生可能エネを普及させるための制度を導入しましたが、この利用が当時の想定より非常に多くなっています。蓄電の技術が進み、コストも低廉化しました。しかも輸出産業にもなりうる。原発を輸出するより、よほどいい。

 再生エネに切り替えると、電気料金が上がるのではないかという不安があるのも確かでしょう。実際、固定価格買取制度では一定の負担をしてもらっていますが、例えば、太陽光パネルのコストなどはどんどん下がってきています。それにコストという点では、すでに国民のみなさんは、東電の福島原発事故の補償や、廃炉にかかる費用の一部を負担しています。

 そのために将来、電気料金が上がる心配をするより、原発をやめるためにかかる若干のコストを考えたほうが合理的では?

 今回の法案には、できるだけ幅広く賛成していただければと思っています。ただ、国会のなかで賛同者を募るより、国民のなかにこそ増やしていきたい。

 国会前に集まってデモをやるのも運動だけど美容院で『週刊女性』を読みながら、隣の人と語り合うのも運動。そこから、どうも原発ゼロにできるみたいだよ、と話がじわじわ広がっていく。そんな草の根の世論を喚起していくことが目標です。