前出の加藤さんは、

「自助グループで失敗や成功の体験を伝えるのは自分がそれを忘れないためです。そしてそれを聞いた人が、やればできると回復していくのです」

人生を狂わされた林隆さん(50代・仮名)の場合

 林隆さん(50代・仮名)も、に人生を狂わされたひとり。

アルコール依存症は長年飲み続けて陥るパターンが多いですが、私は1杯飲んだだけで意識をなくすまで飲むのをやめられなくなるんです

 トラブルもなく順風満帆に思えたが、27歳のときにした結婚を機に突如、暗転する。

 妻の「おを控えて」との言葉も届かず、逆に暴言を浴びせる始末で、幼い息子にまで及んだことも。仕事はできていたが家庭は壊れていた。

 10年ほどそんな生活が続いたときだった。道でAAミーティングの看板を見て参加を決めた。参加者の“横断歩道の真ん中でを飲んでいた”などという話を聞き、「自分も死ぬかもしれない」そんな恐怖からをやめた。あれから約20年たつが、妻には10年前に別れを告げられた。

「我慢してくれていたんだなと思いました。ただAAのおかげで、今は良好な関係です」

 先日、そんな林さんの自宅を息子が訪れたという。

「いい息子なんですよ。“仕事を一生懸命やって俺を育ててくれた親父を尊敬してるよ”と言ってくれました。それでもどんなに謝っても今も自分を許せない部分がある」

 そう話し目に涙を浮かべた。

 厚生労働省が’13年に行った調査では、アルコール依存症の患者は全国で約109万人と推計される。

「今回のことで山口さんから離れていく人はいると思うけれど、支援をしてくれる人もいる。孤独や絶望を乗り越えてほしい」(加藤さん)