古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第48回は樋口卓治が担当します。

ナイツ 様

 今回、私が勝手に表彰するのは漫才師、ナイツのおふたりである。

ナイツのふたり。塙宣之(左)、土屋伸之(右)

 5月5日放送のNHK Eテレ『SWITCHインタビュー達人達(たち)』で、フォークデュオ、ハンバート ハンバート(佐藤良成、佐野遊穂)がぜひ会いたいと指名したのが、ナイツ(塙宣之、土屋伸之)だった。

 佐野遊穂は「地味だけど、地味じゃない存在になりたい。ナイツにはそんな共通点を感じる」と語った。

 ナイツといえば、2008年『M-1グランプリ』でヤホー漫才を引っさげ舞台に立ち、その面白さは世の中に一気に広まった。

 今や、賞レースで成績を残すと、テレビの仕事が増え、漫才師はタレントへと姿を変えていく。今は、それを芸人というくくりと定義している。

 しかし、ナイツはその流れには乗らず、漫才師として生きている。浅草を拠点に、毎月15回近く舞台に立ち続けながら、テレビのネタ番組に出演。そのスタンスはブレず、ネタのクオリティは高く、いつ観ても面白い。

 変わらないことの新鮮さ。まるで老舗の店が味を守り続けるような品質管理はどのように行われているのか?

 お笑いブームの最中、ナイツはスピード感溢(あふ)れる漫才を選ばず浅草に身を寄せる。生の観客を笑わせることを選んだ。