5月23日、次回作の取材のためニューヨークに滞在していた是枝が羽田空港で凱旋帰国会見。パルムドールのトロフィーを披露した

 第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した映画監督・是枝裕和。6月8日より全国で公開が始まる最新作『万引き家族』では子役・城桧吏(じょう・かいり)の好演が話題だが、これまでの作品にも、キラリと光る子役たちが名を連ねる。

 子どもたちを輝かせる“是枝マジック”はどうやって生み出されているのか? 是枝作品で大きな存在感を放つ2人の女優が、秘話とともに語ってくれた。

撮影が始まっても台本が渡されない!?

「監督はやさしいクマのお父さんって感じです」

 と、屈託のない笑顔で話すのは女優の蒔田彩珠。これまでに4本の是枝作品に出演して、最新作『万引き家族』にも参加している。

 是枝との出会いは、彼が監督を務めた’12年10月から放送された阿部寛と山口智子が夫婦を演じる連続ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(フジテレビ系)のオーディション会場だった。

「映画監督ってちょっと怖そうなイメージだったんですけど、監督は全然そんなことなくて。大人がズラッと並ぶ中、最初は誰が監督なのかがわからないくらい、みんな和やかな雰囲気でした」

 オーディションといっても、是枝を含むスタッフたちと雑談のようなものをするだけ。3次審査で、ようやくセリフを数行、読まされたという。

「それでも演技をやらされている感じがまったくなかったんです。この時点でも、どんなストーリーなのかまったく知らされていなかったので」

 彼女は見事、約400人の子役の中から、主演夫婦のひとり娘・萌江役を勝ち取った。だが撮影が始まっても、台本は渡されなかった。

「撮影当日の朝、監督から撮るシーンの説明をその場で伝えられました。そのときのセリフを教えてくれる監督が面白いんです。女の子になりきって言うから、本当におかしくって(笑)」

 まるで父親と娘がじゃれ合うかのような演出法だ。