動脈硬化を起こすリスク要因を改善

 血管年齢を郷のように若々しく保つには、どうすればいいのか。まずは血管の老化、すなわち動脈硬化がどう進むのかを林院長に解説してもらった。

「動脈硬化は、血管の内皮細胞が傷つくことから始まります」

 その原因は高血圧や高血糖。ホースの役割を果たす血管に高い血圧をかけ、糖質など荒い粒を流せばホースの内壁に傷がつく、ということだ。

 血管の傷ついた部分にはLDLコレステロールが付着していくのだが、ただ付着するならまだしも、この部分が体内で発生する活性酸素によって酸化されていく。活性酸素は自らの細胞でも作られるし、タバコや食品添加物、紫外線などでも発生するという。

「酸化したLDLコレステロールは、マクロファージなどの免疫細胞が異物と見なして攻撃します。その結果、LDLコレステロールとマクロファージが争ってできた残骸が血管壁にへばりついていきます。この残骸がプラークと呼ばれるもので、血管の内径が狭まることで血流も悪くなります」(前同)

 プラークは粥状で軟らかいため破裂しやすく、その部分から出血することもある。すると、出血を止めるために血小板が集まり、血の塊である血栓を作る。

 切り傷で血が固まって、自然に塞がっていくのも血小板の働きだが、この血栓は剥がれて流れ出すと大変なことになる。前述のように、脳血管に詰まって脳梗塞を引き起こしたりするのだ。

「血管を若々しく保つには、動脈硬化を起こすリスク要因を改善することが大切です」(同)

 第一は血圧、血糖、中性脂肪による肥満の改善だ。郷は「寝る前に食べない」「野菜から食べる」など、食生活を徹底している。これに加え、日課にしている背筋や腹筋、ストレッチなどの運動も血糖や中性脂肪を少なくする。実際、郷は血圧、血糖値、中性脂肪値など、すべて正常範囲内の数値だという。

次に、LDLコレステロールの酸化を抑えることが大切になる。新鮮な野菜や果物には活性酸素を除去する抗酸化物質が多い。郷は、これをたっぷり食べることで、活性酸素の害を防いでいるのだ。逆に、活性酸素を発生させるのはタバコ。

「タバコは血管を収縮させるため、血圧も高くします。動脈硬化を防ぐためには禁煙が必要です」(同)