ランドセル

販売開始の早期化でピークが移行

 来春、入学する新1年生のランドセル商戦はすでに始まり、夏にピークを迎える。

 2001年から自主ブランド商品「24色ランドセル」を販売し、ロングセラーを誇るイオンでは近年、ランドセル購入の時期が早まっていて夏に売れている。年間の売り上げに占める割合では8月がもっとも高く’16年は21%、’17年は18%、今年は17%と計画している。

ロングセラー商品『トップバリュ かるすぽ はなまるランドセル24』
ロングセラー商品『トップバリュ かるすぽ はなまるランドセル24』
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「売上個数は‘11年ごろは1月が最大のピークでした。しかし年々お客様の購入時期が早くなり‘16年から8月がピークになっています」(イオンリテール株式会社キッズ商品部子供グループランドセルマーチャンダイザーの綿引一浩さん、以下同)

 イオンでは“早い時期からじっくりと商品を選びたい”という消費者の要望に応えて、年明けだった販売開始時期を10月(’05年)、8月(’09年)、4月(’16年)と早めてきて、昨年からは店頭で通年販売し新商品モデルは3月から予約販売している。そうした状況で人気商品が品薄状態になることも。

「入学するお子様の数はわかっているので、作られるランドセルの数もある程度決まってきます。ご要望に応えるよう体制を整えていますが、一部商品に人気が集中した場合は品薄になることもあります。また、親子3世代で選ばれることが多く、夏休みやお盆にご家族がそろった機会に購入されているのも背景のひとつではないでしょうか」

 販売開始時期の早期化によって今後、需要ピークが変わる可能性もあるという。

「実は4月から7月にかけての売れ行きが好調になっています。いまは8月がピークですが、情報収集の早期化の傾向が進むことで購入時期もさらに早まるかもしれません」

正露丸

下痢の要因増加と旅行の携帯品で高需要

 “ラッパのマーク”でおなじみの胃腸薬『正露丸』。日露戦争開戦2年前、1902年の販売開始から1世紀以上、家庭用医薬品の定番だが、その売り上げは8月がいちばん高い。

「年間の月平均と比べて1.3倍くらいになります。直近10年のトレンドをみても8月がピークです。その次に7月、9月と続き、暑い時期に売れています」(大幸薬品株式会社医薬品マーケティング部マネージャー、岡本智充さん、以下同)

需要がピークの夏場に3タイプが販売されている『正露丸』
需要がピークの夏場に3タイプが販売されている『正露丸』

 その理由は夏ならではの要因で、冷たい飲食でお腹を下し、需要が伸びている。

「下痢の原因には食べすぎ飲みすぎ、冷え、ストレス、ウイルス・菌などがあります。そのなかで夏場は冷たいものを飲んだり食べたりすることが増えたり、冷房で身体が冷えるなどお腹を下す要因が多くあり、薬をお求めになられる方の需要が高くなる時期だと考えられます」

 また、夏休みの旅行シーズンには空港での売り上げが伸び、トリップアドバイザーによる“トラベラーズチョイス~旅行者のお気に入り(2016年版)”では、内服薬部門で1位になった。

「海外の場合、衛生環境によってはお腹を下すことも考えられ、空港で購入されていく方が多くいるようです」

『正露丸』は黒い粒の丸剤、糖衣錠のロングセラー商品に昨年、液体カプセルが加わり3タイプが販売されている。

「即効性を求められるお客様の声も多く昨年は51年ぶりに新タイプを発売しました。『正露丸』は家庭の常備薬で通年商品ですが、需要のピークはこれからも変わらないのではないでしょうか」