それまで東京からの一方通行で流されていた情報は、インターネットの普及とともに地方からも、そして個人からも鮮度を保ったまま、全国各地へと届けられるようになりました。

“逆輸入”達成! 北海道発の『水曜どうでしょう』

 さらに、インターネットは東京と地方の間に長年横たわっていた、エンターテイメントの頑固な主従関係をも時にひっくり返してしまう、そんな最強ツールへと成長を遂げていきます。その一例が北海道テレビ(HTB)制作のバラエティ番組『水曜どうでしょう』。

 1996年に放送が始まり、ローカル局の深夜バラエティとして長年、北海道限定で人気を獲得していたこの番組は、インターネットの普及とともに視聴者の口コミが北海道外にも広がったことで、徐々に他県でも放送を開始。

 そこからさらに人気は加速し、なんと2004年には地方ローカルバラエティのはずがキー局である東京のテレビ朝日で放送されるという、今までなら絶対にあり得なかった“逆輸入”を見事、達成します。

 また、出演者の一人である大泉洋さんは、この番組をきっかけに全国で知られるようになり、俳優として数々の人気作品に出演するようにもなりました。

 本当は、この『水曜どうでしょう』や大泉さんのように、エンターテイメントの分野で「面白いこと」「光を放つ人」というのは、東京と地方の間に“格差”は存在しないはずなのです。

 しかも技術革新がさらに進んだ現在は、今や全国どこでも、動画や音楽のストリーミングサービスが楽しめる時代になりました。

 でも、北海道と東京を頻繁に行き来している私はどうもまだ、東京発信のマスメディアの領域で「テレビのある熊の王国」時代の地方観、地方エンターテイメント観が抜けていない、そう感じることが多くあります。