転機は、40数年前。母親が他界し数年後に父親も亡くなった。さらに3年後、11歳上の実兄が仕事中に事故死。実家で生活する家族がいなくなり、ひとりで暮らすようになった。その当時、そこらにいた捨てを拾って、飼い始めたのが多頭飼育のきっかけだったようだ。

「最初は2匹のつがいだったけど、避妊・去勢をしないから、あっという間に増えたみたい」(前出の近所の男性)

 その後、大垣市内の大手化学関係会社に転職し、定年延長して65歳まで勤めた。

「仕事はセロハンの製造部門でしたが、無遅刻、無欠勤でまじめでした」と元同僚。

 男性は有罪判決後、車上生活に戻ったとみられ、また新たな問題が発生しつつある。男性宅に猫が3匹ほどすみついており、その猫たちに男性はまた週に1度の割合でエサをあげに訪れている。

現在は猫が3匹すみついている
現在は猫が3匹すみついている
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 今年1月初めに28匹いたを、ほぼ餓死させた事実を忘れてはいけない。昨年11月に生きて捕獲・保護された6匹のうち1匹は里親が見つかって譲渡されたものの、残る5匹は殺処分された。2月に生き残っていた2匹もすでに殺処分になっている。

 週刊女性はさまざまなかたちで男性と接触を試みたが、男性からは連絡をもらえなかった。

(フリーライター山嵜信明と週刊女性取材班)


〈PROFILE〉
やまさき・のぶあき 1959年、佐賀県生まれ。大学卒業後、業界新聞社、編集プロダクションなどを経て、'94年からフリーライター。事件・事故取材を中心にスポーツ、芸能、動物などさまざまな分野で執筆している