女性はすぐに外に出た。よく見るとその男性は、地面に腹ばいになって、ほふく前進のような姿勢をとっていた。

「てっきり私は“誰か近所の人が草むしりに来たのかな”って思ったんです。次の瞬間、一瞬目が合いました。黒いリュックを背負っていました。すぐにうちの敷地から出て行きましたが、血がついたタオル2枚が残されていました」(前出・70代女性)

民家の隙間に落ちていた血まみれの止血帯
民家の隙間に落ちていた血まみれの止血帯
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 女性がタオルだと思ったものの1枚は止血帯。ネット上で2万円で販売されるイスラエル軍のものとみられる。

 農道を歩く島津容疑者を目撃した男性は、

「小学校方面から引き返すように歩いてきましたが、私と目が合うとすぐに目をそらして、もと来たほうへ農道を歩いて行きました」

 交番襲撃から約20分後、パン、パン、と2回の銃声。

 目撃した知人に詳細を聞いた男性住民は、こう証言する。

「島津容疑者は、倒れている警備員の中村信一さん(68)のほうに拳銃を投げたそうです。銃弾を撃ち尽くしたんでしょうね。その後は斧を持って警察官に向かったところ、撃たれたそうです」

 この日、容疑者が所持していた凶器は山刀や斧、サバイバルナイフなど数点で、黒いリュックに入れて持ち運んでいたとみられる。

秋葉原の通り魔と同じ“ゆがみ”

 島津容疑者は3人きょうだいの末っ子で、同県立山町で両親と3人暮らし。

「父親はPTA会長をしたりかなり厳格な人。18歳になったとき、自衛隊に無理やり入れたのも父親だと聞きました。昨年3月の除隊後、実家に戻ったとのことです」

 と島津家の事情を知る人物。

 中学校3年のとき不登校になり、高校には進学していない。家庭内暴力が最近もあったという一部報道もある。6月27日の容疑者宅捜索ではマシンガン型モデルガンや模造刀といったミリタリーグッズなどが大量に押収された。軍事オタクだったのだろうか。

 犯行動機など事件の全容解明は容疑者の回復を待つしかないが、無差別殺傷を想起させるこの事件は6月9日の東海道新幹線殺傷事件と共通点がある。

 島津容疑者は同事件の小島一朗容疑者同様、中学時代は剣道部で、腕に覚えがあった。個人的な恨みや怒りの矛先を関係ない人に差し向けた疑いがある。

 前出・出口教授は、犯行心理について、こう見解する。

「テロですね。誰でもいいから殺傷して社会に動揺を与えようとする事件。社会に評価されてこなかった、その原因は社会にあるとぶつける。秋葉原の通り魔事件と同じゆがみです。注意しても防ぐのは難しいですよ」