「その心配はありません。O型の人が転んですりむいても、まったく気にしなくて大丈夫です。心臓が止まる・止まらないというような事故にあったときに、もしかしたら出血しやすい・しにくいの差が血液型にあるかもしれないということ。

 そもそも、血液型は変えられるわけではないですし。この研究結果は、治療に生かせなければ意味がないと思っています」

O型だけの問題ではない!

 通常の手術では、事前に血液型を調べ、さらにアレルギー反応などを入念にチェックしたうえで、その人に合った輸血用の血液を用意し、使用している。

「でも、すぐに輸血しないと死んでしまうような救急搬送患者に、血液型を調べる猶予はありません。そのため緊急時にはO型の血液を投与しています。O型の血は輸血の副作用が起こりにくいため、どんな血液型の人にも使えるんです」

 そして容体が安定してきたら、患者本来の血液型に輸血を切り替える。

「今までは前述したようなO型の血液を使用することにデメリットがある可能性を疑っていなかったので、輸血の切り替えを特に急いだりはしていませんでした。

 しかし、もしO型に出血しやすいなどのデメリットが実際にあるなら、いち早く患者の血液型を判明させて対処することで、結果として、むやみにリスクにさらされるおそれを防げるかもしれません」

 今後はほかの施設と共同で研究を行い、より多い症例数で検討し、さらには血液のどこの部分に作用しているのかをつきとめる研究も視野に入れているという。

「これはO型の人だけの問題ではなく、ほかの血液型の人の治療にも関係してくる大切なテーマです」

 ここからは、血液型と病気との関係をさらに詳しく紹介していく。