前立腺がん、O型は低リスク!?

 病気と血液型の関連性が話題を呼ぶなか、注目したいのが国民病・がんとの関係だ。前立腺がんの再発に、血液型が左右する可能性があるかもしれない。

 東京医科大学の大野芳正教授らの研究報告によると、前立腺がんと診断され、前立腺全摘出手術を受けた男性患者555人を対象に、術後4年の経過を調査したところ、O型の再発リスクが最も低かったという。最も高リスクだったA型に比べ35%も差がついている。

「論文発表の2年くらい前に、アメリカの泌尿器科学会が“腎臓がんの再発リスクはO型が低い”という論文を発表しました。そこで私が持つ腎臓がん、膀胱がん、前立腺がんのデータを解析してみました。

 腎臓がんと膀胱がんは差がありませんでしたが、前立腺がんにおいてはO型とA型では再発率にはっきりとした差が出ました。正直、血液型での差はないと思っていたので、意外でしたね」

 と、大野教授は驚きを隠さずに話す。画期的な発見といえるが、なぜO型の再発リスクが低いのか、その理由はまだよくわかっていない。

 大野教授は「推測でしかないが」と前置きしながらも、次のように分析してみせる。体内に病原体などの異物が侵入してきたとき、その特徴を覚えて攻撃、体外へ排除しようとする抗体がつくられる。体内へ侵入した異物を抗原と呼び、前立腺がんの場合、Tn抗原が発現するという。

「O型の人は、抗A抗体と抗B抗体を持っていますよね。抗A抗体はTn抗原と反応して、がん細胞にくっついて破壊するという報告もあるのです。そのためO型の再発リスクがいちばん低いのかもしれません」

 前立腺がん血液型の関係について、昨年には韓国でも大野教授と同様の結果を指摘する研究データが発表、報告されている。

「さらに数年分のデータが集まったら、結果が本当に正しいか、あらためて解析してみるかもしれません。

 実は、血液型がんに関する論文はたくさん発表されています。例えば、A型の人はがんになりやすい、AB型は大腸がんの予後がいい、皮膚がんはO型以外の人のほうがなりにくいなど。さまざまな論文を集めて、より高い見地から分析し、実際はどうか最終的に結論づけるわけです」