つまり、2位の心疾患と4位の脳血管疾患は、主に血栓が招いた死と言える。そして、血栓のできやすさも血液型と関係があるというのだ。

「最初に論文が発表されたのは1969年。以後、世界中の研究者によって数多くの論文が発表され、20世紀末には“O型以外の人は、O型と比べてあらゆる血栓症のリスクが高い”と言われるようになりました

 永田教授によると、血栓ができる場所が静脈か、動脈かによって病気が変わってくるという。

「静脈だと、深部静脈血栓症や肺塞栓症(エコノミー症候群)が代表的です。静脈の血流はゆるやかなので、うっ血すると血管内で固まりやすい。特に、太ももの付け根あたりの静脈は血栓ができやすいんです」

 脚に血栓ができ、静脈が塞がれてしまうと深部静脈血栓症になる。脚がパンパンになり、ひどくなると通常の2倍に腫れ上がることも。一方、肺塞栓症は、脚にできた血栓が肺に飛び火し、肺動脈を塞いでしまう病気だ。

これらの病気は、最近の研究から“O型と比べ、O型以外の人は1・5倍前後かかるリスクが高い”と明らかになっています。5前出の“O型の血は止まりにくい(固まりにくい)”という高山先生の研究結果をはさむと、O型に血栓ができにくいことが理解しやすいと思います」

 そして、動脈に血栓ができて詰まることで生じるのが、心筋梗塞や脳梗塞だ。

「動脈の血流は早いので、うっ血はしません。動脈にできる血栓の原因は、動脈硬化と不整脈といわれています。不整脈由来の場合は、静脈血栓症と同じくO型以外の血液にリスクが高いと予測されています。動脈硬化が原因の場合は、血液型より食事や生活習慣が影響していると考えられていますが、研究途上です」


〈PROFILE〉
高山渉 特任助教
医師。東京医科歯科大学医学部付属病院救命救急センター特任助教。日本外科学会外科専門医

大野芳正 教授
医学博士。東京医科大学泌尿器科学分野主任教授、泌尿器科診療科長。専門は、泌尿器悪性腫瘍(ロボット支援手術など)

永田宏 教授
理学修士、医学博士。長浜バイオ大学教授。医療情報システムの研究に従事したのち、鈴鹿医療科学大学教授を経て現職