蟹チャーハンを一心不乱に食べる男

 こんな例もありました。

 上野明香さん(32歳、仮名)は、西谷守さん(37歳、仮名)とお見合い後、交際に入り、初めてのデートで中華を食べに行きました。それぞれにメニューが手渡され、それを見ていた西谷さんが言いました。

「好きなものを頼んでください」

 そこで、明香さんは、空芯菜炒め、水餃子、棒棒鶏、エビチリと2人で取り分けられるものを数品頼みました。すると、西谷さんが言いました。

「あと、蟹チャーハンをください」

 ご飯ものはチャーハンがあるから、麺類はお腹の具合を見ながら頼むか頼まないか決めようと、明香さんは思いました。

 料理が運ばれてきたので、明香さんがそれそれの料理を小皿に取り分けて、西谷さんの前に置きました。西谷さんはビールを飲みながら、そのお料理を美味しそうに頬張っていたそうです。

 ところが、蟹チャーハンが運ばれてきた時のことでした。明香さんは、私に言いました。

「彼の行動にもう目がテンになりましたよ。西谷さん、蟹チャーハンを自分の前に引き寄せて、レンゲを使って黙々と食べ出したんです。あっという間に、米一粒残さずにひとりでたいらげてしまいました。もうびっくりですよ」

 食事を一緒にすると、お相手の人間性が垣間見られます。

「目の前に私が座っているのに『食べますか?』の一言もなく、黙々と一人で蟹チャーハンを食べている姿を見て、この方と結婚したら、きっと何でも自分が好きなことを優先して、家族のことなんて考えないんだろうなと思ってしまいました。しかも、会計がきれいに割り勘だったんですよ。私は蟹チャーハンを食べていないのに」

 男性は、よほど蟹チャーハンが食べたかったのかもしれませんが、会社の同僚とランチに来ているわけではないのです。

 デートの席ですし、明香さんは他のお料理を取り分けたのですから、チャーハンもシェアしたほうがよい。一人で一心不乱に食べる姿に女性がドン引きするのは、当然のことでしょう。

 確かにこの男性が家庭生活に入ったら、家族よりも自分を優先させてしまうような気がします。